- ガソリン価格の最新データ
- ガソリン価格の仕組みや変動
最近では電気や燃料電池など脱石油に向けた自動車の多様化が進んでいますが、それでもガソリンは主燃料であり続けています。
現在、ガソリン価格が高騰しているので「こんな状況、いつまで続くの?」とガソリン価格の動向が気になるドライバーも多いでしょう。
また、ガソリン価格が変動する要因について関心を抱いている方もいるはずです。どのように価格が決まるのか、社会の状況や世界情勢などがどのように関わっているのか、などなど。
そこで今回はガソリン価格の最新データや推移予想のほか、ガソリン価格の仕組みや変動要因などをなるべく分かりやすくまとめてみました。ぜひご覧ください。
ガソリン価格の動向
まずはガソリン価格の推移を見ていきましょう。
全国レギュラー価格、次に地域ベースの価格をご紹介します。なお、ここに挙げる数値は「資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」」を参照しています。このレギュラー現金価格は、消費税込みの価格です。
【2020年(令和2年) ~2021年(令和3年)】レギュラーガソリンの全国平均価格
2020年11月~2021年11月(調査年月) | 2020年 11月 | 2020年 12月 | 2021年 1月 | 2021年 2月 | 2021年 3月 | 2021年 4月 | 2021年 5月 | 2021年 6月 | 2021年 7月 | 2021年 8月 | 2021年 9月 | 2021年 10月 | 2021年 11月 |
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レギュラー(¥/リットル) | 133.1 | 135.4 | 138.9 | 143.1 | 150.3 | 150.5 | 152.6 | 156.3 | 158.4 | 158.2 | 158.7 | 167.3 | 168.7 |
2020年末から2021年末にかけてレギュラーガソリン価格が上がっていることが分かります。2021年12月時点でも全国のガソリン平均価格は160円台と高値です。
ここ3年ほどの期間の推移を見てみると、2019年は140円台、2020年には一時、120円台まで値が下がりましたが、その後、2021年頃から140円台、150円台と高騰していき、2021年10月に160円台に達して現在に至っています。
なぜガソリン価格が高騰している?
上のグラフは2021年11月~12月にかけてのレギュラーガソリン価格の推移です。
このように直近を細かく見ていった場合、ガソリン価格がゆるやかに下落しています。値下がりの理由については原油の先物価格が一時下落したことによります。
この下落は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」出現の影響による景気回復の遅れに対する警戒感が理由とされています。
変異株によって経済が再び停滞し、原油の需要が落ち込むという見方が強まったため、原油の先物価格が一時下落、ガソリン価格に影響を与えて値下がりしたというわけです。
160円台で高止まり
とはいえ、大きな期間で見た場合、160円台と高止まりが続いているため、ガソリン価格が高騰していることには変わりません。
そもそもなぜ2021年頃から高騰しだしたのかといえば、これもまたコロナ関係で、コロナのワクチンが普及し、国際的に経済活動が活発に動きだしつつあり、原油の需要が高まったからだといわれています。
その一方で、産油国はコロナの再拡大によって再び原油が余ってしまうことを懸念しており、高まる需要に対する大幅な増産には慎重な姿勢をとっています。そのため、需要と供給のバランスが崩れ、原油の調達コストが高くなり、ガソリン価格が値上がりしてしまいました。
ガソリン価格、今後の見通しは?
この状況をどうにかしようと政府は石油の元売り会社に補助金を出すという緊急的な時限措置を年末年始あたりから開始するという話があります。
現在全国のガソリン平均価格は160円台ですが、170円台を超えた時、出光やコスモのような元売り企業に1リットル最大5円を支給するという方針です。
これにより、卸売価格を抑えて我々消費者が支払うことになるガソリンの店頭価格がこれ以上値上がりすることをストップさせるという狙いです。
しかし結局のところ、ガソリンスタンドが店頭価格を設定するため、実際にガソリン価格が安くなってくれるのかどうかはガソリンスタンド次第。
そのため消費者が値下がりを実感できる結果になるかどうかは定かではありません。さらには、こういう補助金という措置は過去に例がないらしいので、企業の混乱も懸念されています。
地域別のレギュラー価格
順位 | 都道府県名 | 価格 |
---|---|---|
1位 | 岩手県 | 154.0円 |
2位 | 埼玉県 | 155.0円 |
3位 | 青森県 | 155.5円 |
4位 | 千葉県 | 156.4円 |
5位 | 秋田県 | 156.5円 |
6位 | 三重県 | 156.8円 |
7位 | 和歌山県 | 156.8円 |
8位 | 新潟県 | 157.3円 |
9位 | 山口県 | 157.3円 |
10位 | 愛知県 | 157.6円 |
11位 | 神奈川県 | 157.7円 |
12位 | 東京都 | 158.1円 |
13位 | 茨城県 | 158.1円 |
14位 | 鳥取県 | 158.3円 |
15位 | 徳島県 | 158.8円 |
16位 | 宮城県 | 158.9円 |
17位 | 北海道 | 159.1円 |
18位 | 熊本県 | 159.2円 |
19位 | 奈良県 | 159.3円 |
20位 | 広島県 | 159.7円 |
21位 | 鹿児島県 | 160.0円 |
22位 | 長崎県 | 160.0円 |
23位 | 栃木県 | 160.2円 |
24位 | 福岡県 | 160.6円 |
25位 | 大阪府 | 160.6円 |
26位 | 富山県 | 160.7円 |
27位 | 群馬県 | 160.8円 |
28位 | 佐賀県 | 161.0円 |
29位 | 静岡県 | 161.2円 |
30位 | 島根県 | 161.2円 |
31位 | 兵庫県 | 161.6円 |
32位 | 沖縄県 | 161.7円 |
33位 | 愛媛県 | 161.9円 |
34位 | 石川県 | 162.0円 |
35位 | 岐阜県 | 162.1円 |
36位 | 岡山県 | 162.5円 |
37位 | 香川県 | 162.6円 |
38位 | 京都府 | 162.7円 |
39位 | 山形県 | 162.9円 |
40位 | 福井県 | 163.0円 |
41位 | 山梨県 | 164.7円 |
42位 | 滋賀県 | 164.9円 |
43位 | 宮崎県 | 165.3円 |
44位 | 福島県 | 165.9円 |
45位 | 長野県 | 168.5円 |
46位 | 大分県 | 169.1円 |
47位 | 高知県 | 173.3円 |
この表は2021年12月23日(木)時点の都道府県平均ガソリン価格になります。第1位の岩手県で154.0円と決して安いとはいえない値段です。高知県にいたっては170円台となっています。
全国のガソリン平均価格は160.7円。地域によって、なぜガソリン価格に違いがあるのかという話ですが、これには様々な原因があります。
例えば、ガソリンの作られる製油所に近い地域では輸送費も安くあがるのでガソリン価格は安くなりますし、地域内に競合する店舗数が少なければ価格が高くなりやすいです。
【2024年】最新ガソリン価格の推移
gogo.gsによれば2024年1月7日時点での「全国のガソリン平均価格」はレギュラーで171.4円となっています。
ガソリン平均価格の安い県でも160円に近い値になっています。2023年は156.6円のため、比較すると約3円程度高くなっています。
ワースト5位では175円以上という高値です。2023年と比較しても5円程度高くなりました。
過去4年でガソリン価格を見てみると、2021年10月に160円台、2022年3月には170.7円、2023年は160円台、そこから2024年現在にいたるまで170円台で推移しています。
年度別レギュラー価格を比較(2017~2021)
過去に目立った高騰の動きがあったのが2018年で、6カ月ほど150円台が続きました。
この高騰の原因は「OPEC(石油輸出国機構)による協調減産」––産油国が協調して世界の原油産出量を減らす取り組み––や、「アメリカによるイランへの経済制裁」––イラン産石油が減ることへの懸念––などが主として挙げられます。
さらに時期をさかのぼると、2013年~2014年。この年は長期的に150円~160円台が続いた高騰でした。
この背景は、
- 世界情勢の不安定からくる原油価格の高止まり
- 2014年4月に消費税が8%に引き上げ
- 石油石炭税の増税
- ガソリンスタンド向けの卸売価格の決め方の変更
- 輸入原油代などコストを十分に反映させた卸価格の方式への切り替え
などが挙げられます。
先に解説した「なぜ今ガソリン価格が高騰している?」で触れた「160円台で高止まりの要因」についてもう一度説明しておくと、
コロナのワクチンが普及し、国際的に経済活動が活発に動きだしつつあり、原油の需要が高まった。その一方で、産油国はコロナの再拡大によって再び原油が余ってしまうことを懸念。高まる需要に対する大幅な増産には慎重な姿勢をとっている。
このように需要と供給のバランスの崩れによって、ガソリン価格が高騰しています。
直近のガソリン価格推移は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が出現したことで、原油の需要が落ち込むという見方が強まったため、
原油の先物価格が一時下落、ガソリン価格に影響を与えてゆるやかに下落しています。とはいうものの、依然として高止まりの状況には変わりありません。
現在と2013年~2014年、2018年の高騰を比較すると、その要因となった具体的な内容は異なりますが、
世界情勢の不安定さ、原油産出量を減らす取り組みなど似通ったパターンを持っています。
それを踏まえて考えると、今後、長期的にガソリン価格が高止まりすることや不安定な価格推移の動きを見せる可能性は高いといえるかもしれません。
ガソリン価格はどうやって決まる?
今からガソリン価格はどうやって決まるのか、その変動要因は何なのかを見ていきましょう。そのために、ガソリンや石油市場などの基礎的な知識から順に説明したいと思います。
原油とガソリンの関係
そもそもの話からですが、ガソリンや灯油、軽油や重油、プロパンガスは全て石油(原油)から取れます。
地下から取り出した石油(原油)は高温で蒸留すると、その過程でガソリン、軽油、重油、灯油などに分離されます。
原油からガソリンだけを生産するということはできないみたいで、原油を精製するとガソリンや灯油などが同時に一定の割合で生産されます。
石油(原油)は母親で、ガソリンはそこから作られる子供のようなものなので別物です。
「ガソリン価格」についてのニュース記事などを読んでいると、「原油価格の高騰」などといった言葉を目にしますが、これはガソリン価格を指しているわけではないので、こういった語の区別をしておきましょう。
しかし、二つの関係から分かるように、原油価格とガソリン価格は深い関わりがあります。
ガソリン価格の変動には様々な要因が複合していますが、原油価格はその大きな影響を与える要素になっています。
日本の石油消費量とバレルについて
1日あたりの石油の消費量の多い国のなかで、アメリカ、中国、インドについで、日本は世界で4番目に多いというデータがあります(参照:「BP世界エネルギー統計2018(石油消費(2017年)」)。
日本の1日あたりの消費量は398.8万バレルです。石油の話でよくバレルという単位が登場するので、簡単にだけ説明しておきます。
1バレルは約159リットル。よく見かける灯油用のポリ容器(18ℓ)で換算すると約9缶分にあたります。
日本では原油を輸入し、国内でガソリンを精製
日本の場合、ガソリンの原料となる原油は99.7%を海外から輸入し、国内の製油所でガソリンへと精製するという形をとっています。
日本は輸入量の85%以上を中東産の原油に依存しています。
経済産業省の2019年8月30日の石油統計速報によると、最大の輸入元はサウジアラビア(約33.2%)、ついでアラブ首長国連邦(約29.7%)、カタール(約9.7%)、クウェート(約7.1%)、ロシア(約5.3%)という順になっています。
原油価格とガソリン価格は連動している
上の表の赤い線は「ガソリン1ℓあたりの小売価格」、青い点線は「原油価格」となっていて、2005年から2018年までの価格推移が示されています。
パッと見て気づくように、青い点線(原油価格)にわずかに遅れて赤い線(ガソリン価格)が同じような動きを見せています。
これはガソリン価格が原油価格に連動していることを意味しています。
日本は原油を輸入し、国内でガソリンを精製すると説明しましたが、例えば輸入元であるサウジアラビアなどから日本に原油を輸送するには時間がかかります。
さらに、日本に到着後にガソリン生産がされてようやく市場に出回ります。
そういう事情により、ガソリン価格が原油価格の変動の影響を受けるのは、1ヵ月程度後になるそうです。
原油価格はどうやって決めるの?
ガソリン価格に影響を与える原油価格ですが、では、原油価格はどうやって決められるのかを見ていきましょう。
メジェーからOPECへ
1970年代まではメジャーと呼ばれる国際石油企業が、原油価格を決めていましたが、次第にOPEC(石油輸出国機構)が勢力を強めました。
OPECは中東を中心とした産油国によって組織され、産油国側の利益を守る目的で、価格や生産量の調整をする役割を果たしていました。
やがてOPECの基準石油価格が世界の原油価格の指標となりました。
石油の価格決定権を持っていましたが、一方的な値上げや、石油に代わるエネルギーや省エネの発展、OPEC以外の国での原油生産量の増加によって、1986年に価格は大暴落してしまいました。
その後、価格決定権は自由市場に移行し、OPECの価格統制力は弱くなりましたが、それでも原油生産量や埋蔵量の大きさから、原油価格に大きな影響を及ぼす存在ではあります。
OPECから市場価格へ
世界の原油は中東のほか、北米、北海(欧州)でも産出されています。それぞれに取引される市場があります。
生産量を比較すると、中東産原油が最も多いですが、石油市場での取引が最も活発なのが、アメリカのニューヨークにある取引所です。
ちなみに、原油の取引は「先物取引」です。
先物取引とは、石油を直接売買するのではなく、「石油を将来のある時期に、前もって決めておいた値段で売り買いする約束」の取引です。
石油は株の売り買いのように、一般の人が投資目的で取引することもできます。
北米の生産量は世界的に見ても少ないですが、ニューヨークの取引所での取引量は圧倒的に多いため、ニューヨークの市場価格が、世界の原油の取引価格の指標になっています。もちろん、中東のOPEC加盟国も例外ではありません。
そのため、例えばアメリカ国内の問題でニューヨークでの原油価格が高騰すると、日本の輸入元である中東産原油の価格にまで影響を及ぼすおそれもあります。
中東産の原油はアジアの市場で取引されているのでアメリカの事情には関係ないはずですが、そういうことが起こり得ます。
「思惑」だけでも市場価格は左右される
原油は市場価格を指標にして価格が決められますが、先に少し触れたように、株のように原油先物として投機の対象でもあります。
つまり、実際の石油の産油量が減少したから「供給<需要」となって、原油価格が高騰するという値動きだけではありません。
「これから値上がりするんじゃないか」といった取引者の憶測や予測による「思惑」が原油価格を左右しもします。
過去に、サウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」の石油施設が攻撃され、原油市場では先物価格が急騰しました。
施設が破壊されたものの生産に異常なしだったとしても、はっきりした事実確認ができないうちに「生産が正常化するまでには長期間かかる」と憶測し、
「生産量の減少で値上がりするんじゃないか。今のうちに買っておこう」という思惑の人が増えれば、原油の需要が一気に高まり、価格は高騰します。
こういう一面からだけ見ても、原油価格の値動きを考える時、協調減産といった産油国の動きや在庫状況や実際の需給だけでなく、
戦争や紛争、社会情勢、世界経済や景気動向、災害、国内外での法律や条例や政策、他のエネルギー資源など様々な観点に注目する必要性が分かります。
ガソリン価格の仕組み
ガソリン価格はその価格構成のうち、約8割以上が原油代と諸税で占められています。
先に説明した通り、原油代は市場価格で決定されるので日々変動していますし、日本は原油を輸入するため、円安や円高といった為替レートの影響も受けています。
そのほか、製油所からの輸送費用なども含めてガソリン価格は決定されています。
ガソリン車とハイブリッド車はどっちが得?電気自動車やPHEV車と比較すると?
ガソリン価格が高騰している時代なのでガソリン車以外の車、「ハイブリッド車」「電気自動車(EV)」「プラグインハイブリッド車(PHEV)」がどれくらいのコストで乗れるのか気になります。
そもそもハイブリッドとかPHEVについてよく分かっていない方もいるはずです。
以下の記事ではそれらの車に加えて、水素自動車や燃料電池自動車(FCV)、クリーンディーゼル自動車(CDV)などの車について解説をし、人気のハイブリッドカーをランキングで紹介しています。
ガソリン価格の最新データまとめ
ガソリン価格の最新データの情報をまとめると、以下の通りです。
- 長期的な視野でガソリン価格の動向を予測するのはかなり難しい
- ガソリン価格は原油価格におよそ一か月遅れて連動しているので、近い将来の予想ならまだ分析しやすい