「免許証がないと車を売れないのでは…」と不安に感じている方もいるかもしれません。

免許を返納した方や、失効・取り消しなどで手元にない状態でも、車の売却は可能です。
国土交通省によると、本人確認書類としては運転免許証のほか、マイナンバーカードや健康保険証、在留カードなどでも対応できると明記されています。(参照:国土交通省「自動車登録関係手続のご案内」)
この記事では、免許証がなくても車を売却できる理由と、その際に必要な書類や注意点をわかりやすく解説しています。
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車を売るときは免許証はいらないが本人確認書類は必要


車を売却するときに「免許証がないと売れないのでは」と不安に思う方は多いですが、実際には免許証は必須ではありません。
車の買取で最も重視されるのは、車検証に記載されている名義人と売却を希望する人が同一人物であるかどうかの確認です。これは、不正な第三者による売却を防ぎ、正しい所有者が手続きを行っていることを証明するために欠かせない工程です。
免許証は本人確認の代表的な書類として使われることが多いものの、それが唯一の方法ではありません。
健康保険証やマイナンバーカードなど、法的に認められた他の本人確認書類でも代替することができます。



つまり、免許証を持っていなくても、必要な書類さえ揃えれば安心して車を売ることが可能です。
免許証を返納や取り消しでも使える本人確認書類


免許証を紛失したり、取り消しや自主返納をした場合でも、車を売ることは可能です。車の買取で必要なのは「本人確認」であり、免許証そのものではありません。つまり、本人であることを証明できる別の書類を提示できれば手続きに支障はありません。
実際に車買取業者で認められている主な本人確認書類は以下のとおりです。
- 健康保険証
- マイナンバーカード(個人番号カード)
- 住民基本台帳カード
- パスポート
これらは公的に本人確認が可能な書類として扱われており、免許証と同様に利用できます。特にマイナンバーカードや保険証は多くの人が所持しているため、準備がしやすい点も安心材料です。
注意点として、免許証がない場合は自分で車を運転して店舗に持ち込むことができないため、査定方法は「出張査定」を選ぶのが現実的です。出張査定なら自宅に業者が訪問してくれるため、免許を持っていない人でも問題なく車を売却できます。


普通車や軽自動車を売るときに必要な書類一覧
車を売却する際は、免許証の有無にかかわらず、必ず揃えなければならない書類があります。
これらは車の所有者を確認するためや、税金・保険料・リサイクル費用の支払いが済んでいるかを証明するために必要です。特に普通車では印鑑登録証明書と実印が必須となるため、事前に役所で準備しておくことが大切です。
初心者の方にとって「書類が多くて複雑そう」と感じるかもしれませんが、ひとつずつ確認すれば難しいものではありません。ここからは、それぞれの書類について詳しく解説していきます。
車を売る時の必要書類
詳しく知りたい方は車買取の必要書類をまとめたこちらの記事をご覧ください。
自動車検査証(車検証)


自動車検査証、通称「車検証」は、車を売るときに必ず提出しなければならない基本の書類です。車が道路を走行できる状態にあることを証明するもので、所有者や使用者の情報、登録番号(ナンバー)、車台番号などが記載されています。
車を売却する際には、この車検証に記載された「名義人」と「売却希望者」が同じであることを確認するために提示が求められます。
車検証は運転時に常に携帯することが法律で義務づけられているため、通常は車内のダッシュボードなどに保管している人が多いです。
そのため紛失するケースは少ないものの、もし見当たらない場合は再発行の手続きが必要です。
再発行は管轄の運輸支局や自動車検査登録事務所で行えます。本人が手続きをするほか、委任状を用意すれば買取業者が代行してくれる場合もあります。


自動車納税証明書・軽自動車納税証明書


自動車税や軽自動車税を納めたことを証明するのが「自動車納税証明書」です。普通車の場合は都道府県税事務所から、軽自動車の場合は市区町村から発行されます。車を売却するときには、この証明書を提示して税金が滞納されていないことを証明する必要があります。



通常は毎年5月頃に送付される納税通知書と一緒に受け取り、支払い後に金融機関やコンビニで領収印が押された用紙が証明書となります。
軽自動車では、証明書がないと車検を受けられないため、車検時にも必須の書類です。
最近では一部地域で電子データによる照会も可能になっていますが、車買取では紙の納税証明書を求められるケースが多いため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。


自賠責保険証明書


自賠責保険証明書は、正式には「自動車損害賠償責任保険証明書」と呼ばれます。すべての車に加入が義務づけられている自賠責保険の加入を証明する書類で、車を売却する際には必ず提出しなければなりません。
この証明書は、交通事故の被害者を救済するための最低限の補償を担保するものです。
通常は車検の更新時に保険も更新されるため、車検証と一緒に保管しているケースが多く見られます。
もし紛失してしまった場合でも、加入している保険会社や代理店で再発行が可能です。保険の内容は変わらず、手続きも比較的スムーズに進められるため安心してください。ただし、証明書がない状態では公道を走ることができないため、早めに再発行しておくことが大切です。


リサイクル券


リサイクル券は、車を廃車にする際に必要となるリサイクル料金をすでに支払っていることを証明する書類です。
新車購入時などに前払いしているのが一般的で、その証明として「自動車リサイクル券」が発行されます。車を売却するときは、このリサイクル料金が未払いでないことを確認するために提出を求められます。
リサイクル券には「預託証明書」と呼ばれる部分があり、そこに車両の情報や支払済みの金額が記載されています。通常は車検証と一緒に保管しているケースが多いため、売却前に確認しておくと安心です。
リサイクル券は、一度紛失してしまうと再発行はできません。
しかし、紛失してしまった場合でも心配はいりません。
自動車リサイクルシステムの公式サイトにアクセスすれば、預託状況を検索でき、画面を印刷すれば代替書類として利用できます。この方法であれば再発行に近い形で証明できるため、売却手続きにも支障はありません。


印鑑登録証明書


普通車を売却する場合に必ず必要になるのが「印鑑登録証明書」です。これは、車の名義変更手続きに使う実印が市区町村に正式に登録されたものであることを証明する書類です。
売却時には発行から3か月以内のものを2通提出するのが基本となります。
印鑑登録証明書は役所の窓口で発行できます。マイナンバーカードを持っていればコンビニの端末で取得できる自治体も増えているため、事前に確認しておくと便利です。
なお、軽自動車を売却する際には印鑑登録証明書は不要で、認印で手続きが可能です。普通車と軽自動車で必要な書類が異なる点を押さえておくと、準備の際に迷わず進められます。
印鑑登録をしていない場合は、まず役所で実印を登録してから証明書を発行する流れになります。発行に日数はかからないため、売却を決めたら早めに用意しておくとスムーズです。


実印・認印


車を売却する際は、印鑑の準備も欠かせません。普通車の場合は実印が必要となり、印鑑登録証明書とセットで提出します。これは名義変更などの法的な手続きに用いるため、必ず役所に登録した実印を使用しなければなりません。
一方、軽自動車の売却であれば実印までは不要で、認印で対応できます。
ただし、どのような認印でもよいわけではなく、シャチハタなどインク内蔵式の簡易印鑑(三文判)は多くの業者で使用できません。
認印を使う場合でも、朱肉を使うタイプの印鑑を準備しておく必要があります。
普通車の場合は、実印の登録と証明書の発行をあわせて進めておくと、手続きに手間取らず安心です。


紛失した必要書類は再発行できる


車を売却する際に必要な書類は、いずれも法的に定められた大切なものですが、うっかり紛失してしまうこともあります。もし手元に見当たらなくても、ほとんどの書類は所定の手続きによって再発行が可能です。
今から、各書類ごとの再発行手続きについて詳しく解説します。
自動車検査証を紛失した場合の再発行
車検証を紛失してしまった場合でも、管轄の運輸支局や自動車検査登録事務所で再発行することが可能です。再発行の目的は、名義人や車両情報を正しく確認し、売却や名義変更を問題なく進めるためです。
手続きの流れは以下のとおりです。
- 管轄する運輸支局や自動車検査登録事務所へ行く
- 窓口で「再交付申請書」と「手数料納付書」を受け取り、記入する
- 必要書類(本人確認書類、印鑑など)と一緒に提出する
- 再交付手数料を支払う
- その日のうちに新しい車検証を受け取る
平日のみの受付で、午前・午後それぞれの時間帯が決まっているため、事前に確認してから出向くと安心です。
また、委任状を準備すれば車買取業者や行政書士に代行を依頼することも可能です。
納税証明書を紛失した場合の再発行
自動車税(普通車)や軽自動車税(軽自動車)の納税証明書を紛失してしまっても、再発行の手続きが可能です。証明書は税金の支払いを確認するために必要な書類で、売却や名義変更の際に必ず提出を求められます。
再発行の窓口は車種によって異なります。
- 普通車:都道府県税事務所またはナンバー登録地を管轄する運輸支局
- 軽自動車:市区町村役場の税務窓口
いずれも申請は無料で、即日発行されるケースが多いため、思ったより手間はかかりません。再発行を受ける際には、車検証や本人確認書類が必要となるため、あらかじめ持参しておくとスムーズです。
また、一部地域では電子納税情報の照会システムを利用できる場合もありますが、車買取業者によっては紙の証明書を求められることも多いため、紛失時は再発行を済ませておくのが安心です。
自賠責保険証明書を紛失した場合の再発行
自賠責保険証明書を紛失してしまった場合でも、再発行の手続きは比較的簡単に行えます。自賠責保険はすべての車に加入が義務づけられており、この証明書は売却時や車検時に必ず必要となる重要な書類です。
再発行を希望する場合は、加入している保険会社または代理店に連絡します。
契約内容が確認できれば、その場で再発行の手続きを進めてもらえます。もし、どの保険会社で契約しているか分からない場合は、車を購入した販売店やディーラーに問い合わせると、加入先を確認できるケースが多いです。
ほとんどの場合は下記いずれかの会社と契約しているはずです。
なお、自賠責保険証明書がない状態では車を公道で運転できません。そのため、紛失に気づいた時点で早めに手続きを行いましょう。再発行された証明書は有効期限や補償内容に変更はなく、そのまま使用できますので安心してください。
リサイクル券を紛失した場合の再発行


リサイクル券を紛失してしまった場合、紙の原本を再発行することはできません。しかし、代替手段が用意されているため安心してください。自動車リサイクルシステムの公式サイトを利用すれば、リサイクル料金の預託状況を照会でき、その画面を印刷することで証明書の代わりとして利用できます。
照会には車両の登録番号(ナンバー)や車台番号の入力が必要です。検索結果には支払済みのリサイクル料金や預託状況が表示されるため、それを印刷して提出すれば、買取業者や手続きの場面で正式に認められます。
なお、この照会・印刷サービスは毎日7時から24時までの間で利用可能です。夜間や早朝は利用できないため、時間に余裕をもって手続きすることをおすすめします。
リサイクル券を紛失しても手続き自体に大きな支障はありませんが、売却前に必ず確認・準備しておくと、引き渡しがスムーズに進みます。
車を売るときに必要書類で注意すべき点


車の売却では、基本的な必要書類さえ揃えておけば手続きは進められます。しかし、状況によっては追加で準備が必要になるケースがあります。特に「住所や名前の変更」や「所有者が亡くなった場合」などは、通常の必要書類に加えて補足書類を提出しなければなりません。
車を売るときに必要な書類の注意点
売却を検討している方は、まず自分の状況に照らし合わせて追加の書類が必要かどうかを確認し、事前に準備を整えておくことが大切です。ここからは具体的なケースごとに必要な書類を見ていきましょう。
1. 車購入時の住所と現住所が異なる場合
車検証に記載されている住所と、現在の住所が異なる場合は、追加の書類が必要になります。これは、車検証に記載された名義人と売却を希望している人が同一人物であることを証明するためです。
住所変更が1回だけの場合は住民票で対応できます。
住民票には前住所も記載されているため、車検証に記載されている住所と現在の住所をつなげて確認できます。
引っ越しが2回以上ある場合は住民票の除票・戸籍の附票が必要
車検証に記載されている住所と現在の住所が大きく異なる場合、1度の引っ越しであれば住民票で証明できます。
しかし、2回以上引っ越しをしている場合は、住民票だけでは過去の住所をすべてつなげて確認できません。そのため、「住民票の除票」や「戸籍の附票」といった追加書類が必要になります。
書類名 | 特徴 | 向いているケース |
---|---|---|
住民票の除票 | 過去の住民票。転出・転居ごとに発行される | 1回ごとの履歴が必要な場合(転居2回など) |
戸籍の附票 | 本籍地単位の住所履歴がすべて載る | 複数回の転居がある場合や履歴を一括で見たいとき |
住民票の除票とは、すでに削除された過去の住民票のことです。転出・転居などで無効となった住所が記録されており、1回分ずつ取得する形です。
一方、戸籍の附票は本籍地のある自治体で発行され、過去から現在までの住所の履歴がすべて記載されています。複数回の引っ越しを経ても、同一人物であることを証明できる点が特徴です。



自分が何度引っ越しているかあやふやな人や、住所の変遷が複雑な人は、最初から戸籍の附票を取得しておくとスムーズです。
これらの書類は役所の窓口で発行でき、郵送での請求も可能です。ただし、郵送の場合は日数がかかるため、売却を予定している方は早めに準備しておくことが重要です。
2. 結婚や離婚で書類の姓が異なる場合
車検証に記載された氏名と現在の氏名が異なる場合は、追加の証明書類が必要になります。多くは結婚や離婚による姓の変更が理由ですが、いずれも同一人物であることを証明するための書類を用意しなければなりません。
この場合に必要となるのが「戸籍謄本」です。
戸籍謄本には氏名の変更履歴が記載されているため、車検証に載っている旧姓と現在の氏名を結びつけることができます。
戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場で発行可能です。窓口での申請に加えて郵送請求もできますが、郵送の場合は日数を要するため、売却を予定している場合は早めの準備が欠かせません。
3. 車の持ち主が亡くなり家族が売却する場合
車の所有者が亡くなった場合、家族がそのまま売却することはできません。相続の手続きとあわせて進める必要があり、状況によって準備する書類が異なります。
必要になる代表的な書類には、戸籍謄本・遺産分割協議書・遺言書・遺産分割協議に参加する相続人全員の印鑑証明書などがあります。これは、誰が正当に車を相続し、売却できる権利を持っているのかを証明するために必要です。
たとえば、相続人が複数いる場合は全員の同意を得た上で遺産分割協議書を作成し、代表者が売却の手続きを進めます。遺言書がある場合はその内容に従って権利を確認する流れになります。
相続に関する書類が不足していると売却できないため、まずは状況を整理し、必要な書類を揃えることが大切です。ケースによって対応が複雑になるため、迷った場合は車買取業者や行政書士など専門家に相談するのも有効です。
まとめ|車買取と免許証の関係
ここまで解説してきたとおり、免許証がない状態でも車の売却は可能です。大切なのは、本人確認と名義確認に必要な書類を正しく揃えておくことです。
売却の状況に応じて必要になる書類や手続きが異なるため、以下のポイントを押さえておくと安心です。
- 免許証は必須ではないが、本人確認書類は必要(健康保険証やマイナンバーカードなどで代用可)
- 出張査定を選べば、運転できなくても売却が可能
- 車種に応じて、普通車は実印と印鑑登録証明書、軽自動車は認印で手続きできる
- 書類を紛失した場合でも再発行できる
- 住所変更・姓の変更・相続といった特別なケースでは追加の証明書類が必要
追加の必要書類についてまとめると次のとおりです。
状況 | 必要な追加書類 |
---|---|
引っ越しが1回 | 住民票 |
引っ越しが2回以上 | 住民票の除票、戸籍の附票 |
結婚・離婚で姓が変わっている | 戸籍謄本 |
所有者が亡くなり家族が売却する場合 | 戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書など |
書類の準備はやや手間がかかるように見えますが、ポイントを押さえて進めれば難しいものではありません。
車売却の必要書類について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。