まず結論から言うと、車検証に記載された住所や氏名と、現在の情報が一致していない場合には、住民票が必要になります。
住民票が必要になる主なケースは3つあります。
ちなみに、国土交通省の公式情報でも、名義変更時には「本人確認のため、住民票や戸籍謄本などの書類が必要になる」と明記されています。(参照:国土交通省 自動車検査登録ポータル「移転登録に必要な書類」)
この記事では、どんなケースで住民票が必要になるのかを具体的に整理し、住民票だけで足りる場合と、除票・附票・戸籍謄本などが求められる例まで解説します。
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住民票が車売却で必要になる3つのケース

車を売却するとき、必ずしも住民票が必要になるわけではありません。
しかし、「車検証に記載された氏名や住所」と「現在の氏名・住所」に違いがある場合は、本人確認や名義変更のために住民票が求められます。
ここでは、住民票の提出が必要となる代表的な3つのケースを紹介します。
住民票が車売却で必要になるケース
軽自動車の売却時でもこのケースでは住民票が必要になります。
1. 住所変更が1回
車を購入したあとに1度だけ引っ越しをした場合、車検証に記載された住所と現在の住所が異なることになります。
車検証は変更手続きを行わない限り、そのままの住所が残ります。
このようなケースでは、住民票の提出が必要です。車検証の情報と本人の現在の情報をつなぐために、住民票を使って「同一人物であること」を証明する必要があるためです。
住民票には、現在の住所と1つ前の住所が記載されるため、転居が1回だけであればこの情報で照合が可能です。

ただし、役所で住民票を取得する際は「1つ前の住所も記載されるように」と窓口で伝えておくと安心です。
転居が1回であっても、記載条件によっては前住所が載らないこともあるため、用途をしっかり伝えて発行してもらいましょう。
2. 氏名変更(結婚・離婚)
結婚や離婚で姓が変わった場合、車検証に記載されている氏名と現在の氏名が一致しない状態になります。このようなときは、名義人が同一人物であることを証明するために住民票が必要です。
たとえば、同じ市区町村内に住み続けていて、住民票に旧姓と新姓の履歴が記載されている場合であれば、その住民票を提出するだけで手続きが進められます。
氏名変更の経緯がきちんと確認できれば、本人確認も問題なくクリアできます。
ただし、住民票に旧姓の記載がない場合や、引っ越しなどで履歴が消えてしまっている場合は、住民票の除票や戸籍謄本などの補足書類が必要になることがあります。
役所で住民票を取得する際には、「氏名変更の履歴がわかる形で発行してください」と伝えるとスムーズです。
3. 車検証の名義が本人以外
車を売却できるのは、あくまで車検証に記載された名義人(所有者)です。そのため、車検証の名義が本人ではない場合には、そのままでは売却できません。



よくあるのが、ディーラーやローン会社名義になっているケースです。ローンを完済していない車は、所有権が自分に移っていないため、売却には手続きが必要です。
ただし、ローンを完済していれば、所有権の移転が可能になります。このとき、車検証の名義人と実際の使用者(売却希望者)が異なる場合、本人確認のために住民票の提出を求められることがあります。とくに、住所が一致していない場合は注意が必要です。
また、家族名義の車を売る場合も同様です。名義変更や委任状の提出が必要になりますが、名義人と売却希望者の関係を証明するうえでも、住民票が役立つことがあります。


住民票の除票・戸籍の附票が車売却で必要になるケース


車を売却するときに必要な書類として「住民票」が使われるのは、車検証の住所や氏名と現在のものが一致しない場合です。
ただし、1回の転居や単純な姓の変更であれば、住民票1通で対応できることが多い一方で、2回以上の引っ越しや複雑な氏名変更をしている場合には、住民票だけでは情報が足りないことがあります。
住民票以外が必要になるケース
このようなときに必要になるのが「住民票の除票」や「戸籍の附票」といった補足書類です。
これらは過去から現在にかけての住所の変遷や、氏名の変更履歴をたどるための記録として使われ、車検証と照合することで本人確認を可能にしてくれます。
ここでは、住民票の除票や戸籍の附票が必要になる具体的なケースを整理し、どのような状況でこれらの書類が求められるのかをわかりやすく解説します。
1. 住所変更が2回以上


車を購入してから2回以上引っ越している場合、住民票だけでは過去の住所履歴をすべて証明できません。住民票に記載されるのは「現住所」と「直前の住所」だけで、それ以前の履歴までは表示されないからです。
このようなときは、以下のいずれかの補足書類が必要になります。
書類名 | 特徴 | 向いているケース |
---|---|---|
住民票の除票 | 過去の住民票。転出・転居ごとに発行される | 1回ごとの履歴が必要な場合(転居2回など) |
戸籍の附票 | 本籍地単位の住所履歴がすべて載る | 複数回の転居がある場合や履歴を一括で見たいとき |
住民票の除票とは、すでに削除された過去の住民票のことです。転出・転居などで無効となった住所が記録されており、1回分ずつ取得する形です。
一方、戸籍の附票には、本籍地をもとにこれまでの住所履歴がまとめて記載されています。



自分が何度引っ越しているかあやふやな人や、住所の変遷が複雑な人は、最初から戸籍の附票を取得しておくとスムーズです。
2. 氏名変更を住民票だけで証明できないとき


結婚や離婚によって姓が変わったあと、さらに引っ越しをしている場合や、住民票に旧姓の記録が残っていない場合には、住民票だけでは氏名の変更経緯を証明できません。
このようなケースでは、「戸籍謄本(または戸籍抄本)」を用意する必要があります。
戸籍謄本には、旧姓から新姓への変更が正式に記録されており、車検証に記載された氏名と現在の氏名が同一人物であることを証明するための根拠になります。
とくに、婚姻や離婚を経て別の市区町村へ転居した場合は、住民票に変更履歴が引き継がれないことが多く、戸籍謄本が不可欠です。
また、姓が変わった場合は、印鑑登録証や印鑑証明書の内容も更新しておく必要があります。
軽自動車を売却するときに住民票が必要になるケース


軽自動車を売却する際、基本的には普通車のように印鑑証明書や実印は必要なく、本人確認には認印と住民票で対応できることがほとんどです。そのため「軽自動車の売却=住民票が必須」と思われがちですが、実は常に必要になるわけではありません。
実際には、車検証に記載されている住所と、現在の住所が一致している場合には、住民票の提出は求められないことが多いです。
反対に、引っ越しなどで住所が変わっており、車検証の情報と現在の情報が一致しない場合には、住民票を提出して「同一人物であること」を証明する必要があります。
また、住所変更が2回以上ある場合や、氏名変更も伴っているケースでは、普通車と同様に住民票だけでは証明が不十分になることがあります。その場合は、住民票の除票や戸籍の附票、戸籍謄本などの補足書類が必要です。
車売却時の住民票の取得方法


車売却時に住民票が必要になる場合もありますが、実際にどこで取得すればいいのかわからないという方もいるでしょう。住民票の取得方法には以下の2つの方法があります。
車売却時の住民票の取得方法
方法1. マイナンバーカードがあればコンビニでも発行可能
マイナンバーカードの普及が進み、カードを持っていれば住民票をコンビニで発行できるようになっています。
これまでは役所でしか取得できなかったため、窓口が閉まっている時間帯や大型連休中は受け取りまでに時間がかかりました。
しかしマイナンバーカードがあれば、コンビニで土日祝日に関係なく朝6時半から夜11時まで利用できます。全国のコンビニで発行できるため、出先で急に必要になった場合でも手軽に取得できるのが大きな利点です。
方法2. 市役所や出張所の窓口
住民票の取得には、従来通り市役所や出張所の窓口で行う方法があります。役所で住民票を取得するメリットは、職員に確認しながら発行できる点です。
住民票を取得する際に姓が変わっている場合は、旧姓を表示してもらう必要があります。
また転居している場合は、回数によって住民票だけでは対応できず、住民票の除票や戸籍の附票が必要になることもあります。用途を伝えれば、窓口で適切な書類を発行してもらえるので安心です。
車売却に必要な住民票の記載内容


車の売却で住民票が必要になると聞いても、「どこまで記載すればいいのか」とか「不要な情報まで出してしまわないか」といった細かな疑問を持つ方は多いです。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 住民となった年月日
- 住所を定めた年月日
- 届出年月日
- 前住所
実際のところ、車売却で求められる住民票には「住所のつながりを証明できる情報」があれば十分で、それ以外の項目は省略して問題ありません。
つまり、以下の記載は不要です。
- 世帯主の氏名
- 世帯主との続柄
- 本籍
- 筆頭者氏名
- マイナンバー(個人番号)
- 住民票コード
必要のない情報まで記載してしまうと、個人情報を余計に渡すことになりかねません。
ここでは、住民票の交付申請時に「記載の有無を選べる項目」について、それぞれ詳しく整理していきます。
世帯主の情報は不要
車の売却で使用する住民票に、世帯主の情報は必要ありません。役所で住民票を請求する際、「世帯主・続柄の記載あり/なし」を選べることがありますが、本人確認や名義変更において必要なのはあくまで「本人の氏名と住所」のつながりです。家族構成に関する情報は一切関係ありません。



世帯主の名前や続柄を記載しても、手続き自体が進められないということはありませんが、個人情報の観点からも不要な情報は含めない方が安心です。
とくに、第三者に住民票を提出する場面では、必要最小限の記載にとどめておくのが基本です。
そのため、住民票を取得するときは「世帯主・続柄の記載なし」で発行するよう、窓口でしっかり伝えておきましょう。「誰のための住民票か」「車の売却に使いたい」ことを説明すれば、適切な内容で発行してもらえます。
世帯全員分の住民票は不要で本人分のみでOK
車売却で使う住民票は、本人分のみで十分です。役所では「世帯全員の住民票」または「本人のみの住民票」を選べますが、売却手続きで必要なのは「名義人本人の情報だけ」であり、同居する家族の情報までは一切求められません。
世帯全員分の住民票を取得してしまうと、自分以外の家族の氏名や生年月日まで記載されてしまい、必要のない個人情報を第三者(買取業者など)に渡すことになります。
書類として無効になることはありませんが、リスクを避けるためにも「本人のみ」で取得するのが基本です。
とくにオンラインやコンビニ端末で住民票を発行する場合は、操作ミスで「世帯全員」を選んでしまうケースもあるため注意が必要です。念のため、発行前に表示内容を確認するか、窓口で直接申請する場合は「本人分のみ」と明確に伝えるようにしましょう。
本籍の記載は原則不要
車の売却に使う住民票に「本籍地」を記載する必要はありません。住民票の申請時には「本籍を記載する/しない」を選べますが、売却手続きで求められるのはあくまで現在の住所と車検証の情報が一致しているかどうかの確認です。本籍は名義確認や住所証明には関係しないため、省略して問題ありません。
むしろ本籍を記載すると、住所とは別にさらに詳しい個人情報(戸籍上の所在地)が含まれることになり、無用な情報を提出することになります。手続きには支障がなくても、情報管理の観点からも避けたほうが安心です。
ごくまれに業者から「本籍入りの住民票を用意してください」と案内されることもありますが、多くの場合は誤案内です。
どうしても不安な場合は、事前に業者へ確認しておくと安心です。基本的には、住民票に本籍を記載する必要はないと考えて差し支えありません。
マイナンバーの記載は不要
車の売却で提出する住民票に、マイナンバーを記載する必要はまったくありません。住民票の交付申請時には「マイナンバー記載あり/なし」を選べますが、名義変更や本人確認の手続きにマイナンバーが使われることはありません。むしろ、記載してしまうことで重要な個人情報を第三者に渡すリスクが生じます。
とくに注意したいのは、住民票にマイナンバーが載っているとコピーや保管の扱いに厳しいルールが発生する点です。
買取業者にとっても不要な情報であり、記載された住民票を提出してもメリットはありません。
住民票を取得する際は、必ず「マイナンバーは記載しない」を選択してください。万が一、マイナンバー入りの住民票を取得してしまった場合は、提出前に再取得することをおすすめします。
車の売却に必要な書類一覧
車を売却するときには、住民票以外にもいくつかの書類が必要です。普通車と軽自動車では必要なものが一部異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
基本的な書類としては、車検証(自動車検査証)・自賠責保険証明書・納税証明書などがあり、本人確認のためには印鑑証明書や実印が求められることもあります。
とくに住所や氏名に変更がある場合は、それを証明する補足書類(住民票・戸籍謄本・戸籍の附票など)を追加で提出しなければなりません。
普通自動車を売るときの必要書類
普通自動車を売却する際には、本人確認や名義変更に必要な書類が多くあります。以下が基本的に求められる書類です。
- 車検証(自動車検査証)
- 自賠責保険証明書
- 普通自動車の納税証明書
- 実印
- 印鑑登録証明書(発行から1か月以内のものを2通)
- リサイクル券(預託済み証明書)
- 住民票(住所変更があった場合)
- 戸籍謄本・戸籍の附票・住民票の除票(氏名変更や複数回の転居がある場合)
- 振込先口座の情報(現金以外での受け取り時)
これらに加えて、譲渡証明書・委任状・自動車検査証記入申請書といった書類は、基本的に買取業者側で用意してくれるため、自分で準備する必要はありません。
軽自動車を売るときの必要書類
軽自動車を売却する際は、普通車よりも手続きが簡単で、必要な書類も少なく済みます。ただし、住所や氏名の変更があった場合には、補足書類として住民票などが必要になることがあります。
以下が、軽自動車を売るときに用意すべき書類です。
- 軽自動車検査証(車検証)
- 自賠責保険証明書
- 軽自動車の納税証明書
- 認印(シャチハタは不可)
- リサイクル券(預託済み証明書)
- 住民票(住所変更・氏名変更がある場合)
普通車と違い、軽自動車では実印や印鑑証明書は不要です。認印で手続きできるため、準備の負担も比較的軽くなります。
ただし、車検証に記載された住所と現在の住所が違う場合は、住民票の提出が求められます。転居が複数回ある場合や姓が変わっている場合は、住民票だけでは足りず、戸籍の附票や戸籍謄本などの補足書類も必要になるケースがあります。
なお、名義変更に関する書類(申請依頼書や譲渡証明書など)は買取業者側が用意してくれるため、基本的には自分で準備する必要はありません。
まとめ|車売却時の住民票の準備ポイント
ここまで車売却で住民票が必要となるケースや取得方法について解説してきました。
住民票が必要になるケースを以下の表にまとめました。
内容 | |
---|---|
住所変更が1回 | 現住所と直前の住所を記載した住民票で確認可能 |
住所変更が2回以上 | 住民票の除票や戸籍の附票が必要 |
結婚や離婚など氏名変更 | 旧姓表示付きの住民票や戸籍謄本で証明 |
車検証の名義が本人以外 | ローン会社やディーラー名義の場合、本人住所を証明する住民票が必要 |
住民票取得の方法は次のとおりです。
マイナンバーカードを持っていれば、全国のコンビニで朝6時半から夜11時まで発行可能。持っていない場合は市役所や出張所の窓口へ。
窓口では「車売却で使う」ことを伝えると、旧姓や転居歴など必要な情報が反映された住民票を発行してもらえる。
基本は1通で足りるが、転居が複数回ある場合は除票や附票を追加で取得する。
車の売却では、住民票が必要となるかどうかは人によって異なります。



自分がどのケースに当てはまるかを確認し、事前に必要書類をそろえておけば、当日の手続きをスムーズに進められます。
安心して売却を進めるためにも、この記事で整理した内容をチェックリスト代わりにして準備を整えてください。