- レッドブックやイエローブックについて
車査定を依頼するユーザーは車の高価買取を目指します。一方、買取業者からすれば安い値段で車を買い取ることが望ましいです。
査定士は様々な要因を踏まえて査定額を提示するものの、『レッドブック』や『イエローブック』を交渉に用いる査定士には注意しなければいけません。
購入方法が限定されるレッドブックやイエローブックは、自動車取引のプロではない一般人が簡単に入手できない書籍です。レッドブックの基本知識や主な活用方法を確かめ、車査定で車を安く買い叩かれないように備えておきましょう。
中古車のリアル査定額・評価額が筒抜け『レッドブック』とは?「自動車価格月報」
有限会社オートガイドが発行しているレッドブックは、毎月発行と隔月発行を揃える中古車の価格情報などが掲載された書籍です。
「オートガイド自動車価格月報」がレッドブックの正式名称です。創刊1958年という歴史ある自動車価格月報として知られています。
レッドブック(オートガイド自動車価格月報)の種類
レッドブック購入の申し込みは「年間契約」となります。
レッドブックには以下のようなシリーズがあります。
- 【国産車】商用車(トラック・バス)
- 【国産車】国産乗用車
- 【国産車】軽自動車・二輪車
- 【輸入車】輸入自動車
国産車3種類と輸入車1種類の全4種類が存在します。
レッドブック(オートガイド自動車価格月報)の年間費用
シリーズ | 発行月 | 年間費用 |
---|---|---|
商用車(トラック・バス) | 隔月発行(毎奇数月) | 8,200円 |
国産乗用車 | 毎月発行 | 11,000円 |
軽自動車・二輪車 | 隔月発行(毎奇数月) | 5,200円 |
輸入自動車 | 隔月発行(毎偶数月) | 7,600円 |
国産乗用車は毎月発行。それ以外は隔月発行で商用車と軽自動車・二輪車は奇数月、外車は偶数月になっています。
全シリーズをまとめて購入する場合、割引価格として年間28,800円となります。国産車シリーズの3つを合わせて購入する場合も、年間23,600円と割引価格です。
レッドブック(オートガイド自動車価格月報)に掲載されている内容
シリーズいずれの種類であっても、レッドブックではメーカーや車種、グレードのほか、年式や形式別に以下の情報が記載されています。
- 新車価格
- 中古車下取価格
- 中古車卸売価格
- 中古車小売価格
これらの価格は、レッドブックを発行するオートガイドが長年蓄積した豊富な経験と適確な状況把握によって予測算出した標準的な価格です。
ここでいう「中古車下取価格」というのは言葉通り、下取り(買取)する時の価格です。
仮にこの本を実際に利用するとしたら、中古車を売りたい人は「中古車下取価格」を一つの目安として参考にすればいいですし、中古車を買いたい人は「中古車小売価格」をチェックします。
しかし先に触れたようにレッドブックはプロ用の書籍として販売されていますし、あとで説明するように査定価格に関してはそのまま参考になるかどうかはわかりません。
レッドブックの正しい見方~専門用語も解説~
この画像はレッドブックのサンプルページになります。有限会社オートガイドの公式サイトにおいては、レッドブック各種の価格掲載期間とレッドブックのサンプルを公開しています。この見方を少し詳しく解説しておきたいと思います。
専門用語 | 意味 |
---|---|
中古車価格下取千円 | 千円単位で示した車を下取る際の金額 |
中古車価格卸売千円 | 千円単位で示した車を仕入れる際の最低金額 |
仕様 | 駆動方式や排気量のほか、グレードや乗車人数の記載 |
認定型式 | エンジンの型式 |
通称型式 | 認定型式に数字や英字を足したグレードの表示 |
類別区分番号 | 車検証上で付与される番号 |
新車発売当時千円 | 千円単位で示した発売当時の価格 |
中古車小売千円 | 千円単位で示した中古車の最低小売価格 |
レッドブックに使われている専門用語とその意味は上記の通りです。
レッドブックでは車の仕様や価格情報などが横一列にそれぞれまとめられているだけで、特殊な内容は何も記載されていません。
レッドブックは買取査定相場より安く査定現場で使われない
レッドブックでは中古車の価格情報が箇条書きでまとめられていますが、基本的にレッドブックは車査定で重視されません。
レッドブックを使わずに査定を行う業者が一般的、といっていいです。
レッドブックは相場情報の把握や客観的な情報を確認するために使われやすく、レッドブックの価格情報は参考程度になるケースがほとんどです。
このように車査定でレッドブックが活躍しない理由においては、以下のデメリットが関係しているからです。
レッドブックのデメリット | |
---|---|
デメリット① | 販売開始から10年以上経過した車両は販売価格の一律10%で扱っている |
デメリット② | 毎月発行や隔月発行の書籍なので価格情報がリアルタイムの情報ではない |
デメリット③ | 地域間で発生する需要の差が考慮されていない |
デメリット④ | 車両の状態や自社の在庫状況など査定額に影響を与える要因が反映されていない |
車買取専門店では、お客さんから買い取った車はオートオークションに出品します。端的にいえば、お客さんに支払った買取額とオークションでの落札額の差がその店の儲けになります。
そのため業者は、査定をする車両と類似した同車種がカーオークションでどれくらいの値で取引されているかをチェックするのが重要になってきますし、この方法であれば今現在の相場を知ることができます。
また、買い取った車を自社で販売する店では在庫状況によってその車両の査定額が積極的につけられることもあれば消極的になる場合もあるでしょう。
個人経営店か全国展開している店舗か、どういうスタイルで経営しているかなどによっても、どうやって査定額を決めることになるかが違ってくるはずです。
車査定では変動要因を踏まえた総合的な判断が重要ですから、査定士がレッドブックをベースに査定するということはないと言っていいでしょう。
レッドブックは一般人でも見れる?正しい見方や閲覧方法
中古車価格月報のレッドブックは、プロではない一般人であっても購入してその内容をチェックできるのでしょうか?
レッドブックの購入に関する注意点のほか、レッドブックの正しい見方や閲覧方法を続けて確認してみましょう。
レッドブックの購入は一般人は不可
レッドブックは自動車販売業や損害保険会社などプロ用に該当し、書店で売っていないため、申込方法は公式サイトでの年間契約しかありません。
申し込み時にはオートガイド自動車価格月報申込書の記入が求められ、その内容では職種の記入も必須条件として定められています。レッドブックが記載している価格情報に興味があったとしても、一般人なら基本的にレッドブックを購入することはできません。
そもそも一般人が車査定を年間通して利用する可能性は少ないので、年間契約を避けられないレッドブックは一般人には不向きな書籍になっています。
『イエローブック』はJAAI発行の中古車卸売価格情報
JAAIが毎月1日に発行しているイエローブックは、中古車の「卸売価格」が記載されているB5版の書籍です。中古車取引の目安になる価格情報を扱っているため、イエローブックは一般ユーザーの入手や閲覧に対応していません。
イエローブックの価格情報をチェックできるのはJAAIの加盟業者であり、イエローブックは相場算出の参考に使われたりします。
レッドブックでもほぼ同様の価格情報を確かめられますが、JAAIとの関係性上、イエローブックの活用を優先している買取業者が見られます。
取引目安の価格情報は実際の査定額よりも安い傾向があります。
『シルバーブック』はJAAI発行の中古車小売価格情報
JAAIが毎月1日に発行している刊行物に「シルバーブック」という本もあります。こちらはプロ・業者用の書籍ではなく、一般向けです。
中古車購入の際に価格の参考となるように中古車の販売価格の相場が掲載されています。デジタル版も出ていますので、車を買いたい人はチェックしてみるといいでしょう。
レッドブックの活用方法と使い道
60年以上の歴史を誇るレッドブックは、豊富な経験を踏まえた的確な状況把握によって車の標準的な価格を予測算出した中古車価格月報です。
こうしたレッドブックの主な活用方法と使い道はどのようなものでしょうか。
自動車販売業以外にレッドブックって誰が使うの?3つの業種が使用
車査定などを行っている自動車販売業に限らず、有限会社オートガイドの発行するレッドブックは以下の業種でも力を発揮しています。
- 損害保険会社
- 法律事務所
- 官公庁
損害保険会社では自動車保険における補償額の指標にレッドブックを使用していて、法律事務所では被害総額の計算時にレッドブックを活用しています。
県庁や市町村役場などの官公庁では、公用車の予算を導き出す際の証拠や根拠としてレッドブックの価格情報を役立てています。
【損害保険会社】車両の補償額を決める目安
自動車保険で車両保険を付帯すると、契約している車が交通事故などで損害を受けたときに損害保険会社から補償を受けられます。
一般車両保険を選んでいれば、単独事故や相手を特定できない事故も補償範囲に含まれますので、新車購入時には車両保険への加入が欠かせません。
自動車保険を扱う損害保険会社では、車両保険や対物賠償保険の補償額を決めるときに、補償額の指標としてレッドブックの価格情報を使っています。
【法律事務所】弁護士が車の時価額を算出するため
交通事故など車のトラブルが裁判に発展するのであれば、弁護士は車の時価額を算出して被害総額をしっかり把握しなければいけません。
レッドブックに記載された価格情報は、買取業者の在庫状況や需要の変動を考慮していませんから、純粋な価値に近い特徴を持ちます。
弁護士が裁判の資料にレッドブックを使うケースは多く、裁判所としてもレッドブックを重要な資料に位置付けています。
車の状態にかかわらず高く売るなら”車一括査定”
レッドブックやイエローブックの影響を避けつつ、車の高価買取を目指したいときには、車一括査定の活用が主要な選択肢としてあげられます。
買取業者と提携したうえでサービスを展開している車一括査定は、買取業者に一括で車査定を依頼できるインターネット上のサービスです。
車一括査定では簡単な手順で複数社の競合を起こせますし、レッドブックやイエローブックを基準にした査定額を提示される心配はありません。
レッドブックやイエローブックまとめ
レッドブックやイエローブックについてまとめると、以下の通りです。
- 1958年創刊の歴史あるレッドブックは自動車販売業だけでなく損害保険会社や法律事務所などでも活用されている自動車価格月報
- オートガイド自動車価格月報がレッドブックの正式名称。毎月発行と隔月発行をあわせてレッドブックは全4種類
- レッドブックでは中古車の価格情報がまとめられている。ただし車査定で考慮すべき変動要因を全てカバーしているわけではない