レッドブックとは、中古車業者同士の取引で参考にされる業界向けの相場資料で、年式や型式ごとに平均的な取引水準をまとめた価格データ集です。
そのため、個人が同じ金額で車を売れる基準にはなりません。
理由は、レッドブックが年式や型式ごとの平均的な取引水準を示すもので、実際の査定で重視される車の状態、地域性、需要までは反映されないからです。

現実的な買取相場を知りたい方は、車一括査定で複数業者の査定額を比較し、実際の相場を調べてください。
この記事では、レッドブックの役割と限界を整理したうえで、実際の買取現場では何を基準に査定額が決まるのかを具体的に解説します。
レッドブックは中古車の評価額が掲載された業界向け価格資料

レッドブックは、有限会社オートガイドが発行している中古車価格の専門資料で、業界内での取引や判断の基準として長年使われてきました。
正式名称はオートガイド自動車価格月報で、創刊は一九五八年と歴史があり、中古車市場の動きを継続的に記録している点が特徴です。
掲載されているのは、特定の一台ごとの査定額ではなく、車種や年式、型式ごとに整理された標準的な評価額になります。
そのため、レッドブックは中古車の相場感や価格帯を把握するための資料として位置づけられています。
一方で、実際の車査定では車両状態や需要など多くの要素が加味されるため、レッドブックの数値がそのまま買取額になるわけではありません。
レッドブックの基本情報
ここからは、レッドブックに具体的にどのような情報が載っているのか、どう読み取るべきか、そしてなぜ査定現場で主軸にならないのかを、順に整理していきます。
レッドブックに掲載されている車の評価内容

レッドブックには、中古車の相場を把握するために必要な情報が、一定のルールに基づいて整理されています。
記載内容は個別の車両を評価したものではなく、車種や年式ごとの標準的な価格水準を示す点が特徴です。
主に掲載されている評価項目は、次のとおりです。
- メーカー名、車種名、グレード
- 年式、型式、仕様情報
- 新車発売時の価格
- 中古車下取価格
- 中古車卸売価格
- 中古車小売価格
中古車下取価格は、業者が車を仕入れる際の基準となる水準です。
中古車卸売価格は、業者同士の取引で参考にされる価格帯を示しています。中古車小売価格は、販売時の最低ラインを想定した目安です。
これらはいずれも、走行距離や修復歴、装備の違いといった個別要素を反映した金額ではありません。
レッドブックの評価内容は、車の相場全体の位置関係を把握するための資料であり、実際の車買取額を判断する際の直接的な根拠にはならない点を理解しておくことが重要です。
レッドブックの正しい見方と専門用語の考え方

レッドブックは、車種や年式ごとの価格情報を一覧で整理した資料で、見方を誤ると実態とズレた理解につながります。
紙面には数値や専門用語が並びますが、内容自体は複雑ではなく、意味を一つずつ押さえれば十分に読み取れます。
代表的な用語と考え方は、次のとおりです。
| 専門用語 | 意味 |
|---|---|
| 中古車下取価格千円 | 千円単位で示された下取価格の目安で、業者が仕入れを想定する基準値 |
| 中古車卸売価格千円 | 業者間取引で参考にされる卸売水準を、千円単位で示したもの |
| 中古車小売価格千円 | 中古車として販売する際の最低ラインを想定した価格帯 |
| 新車発売当時価格千円 | 新車として販売された当時の価格を、比較用の情報として掲載 |
| 認定型式、通称型式 | 車検証に記載される型式や、そこから派生したグレード識別のための表示 |
これらの価格には消費税が含まれていない点も重要です。
また、レッドブックは車両状態や地域差、直近の需要変動を反映しません。そのため、数値をそのまま査定額と捉えるのではなく、相場の大枠を知るための資料として読み取る姿勢が欠かせません。
レッドブックの正しい見方は、価格の上下ではなく、位置関係を把握することにあります。
レッドブックが実際の査定現場で使われない理由
| レッドブックのデメリット |
|---|
| 毎月発行や隔月発行の書籍なので価格情報がリアルタイムの情報ではない |
| 販売開始から10年以上経過した車両は評価額を販売価格の一律10%で扱っている |
| 地域間で発生する需要の差が考慮されていない |
| 車両の状態や自社の在庫状況など査定額に影響を与える要因が反映されていない |
レッドブックは中古車の価格水準を整理した資料ですが、実際の車査定では主な判断材料として使われていません。
多くの買取現場では、現在進行形の取引価格や需要を重視した査定が行われています。その理由は、レッドブックの性質が実務の査定と合わない点にあります。

まず、レッドブックに掲載されている価格は、発行時点での標準値です。
毎月または隔月で更新されるとはいえ、相場が日々動く中古車市場では情報の鮮度が足りません。
地域ごとの需要差や、特定車種への人気の集中といった要素も反映されていません。
さらに、走行距離、修復歴、内外装の状態、装備内容など、査定額に直結する個別要因が考慮されない点も大きな理由です。
買取業者は、同型車が現在どの程度の価格で取引されているかを把握するため、オートオークションの落札データなどを確認します。
これにより、今の相場に即した査定額を算出できます。
こうした背景から、レッドブックは相場観を補足する資料としては役立ちますが、査定額を決める基準にはならないと断言できます。
| 車の査定のマイナスポイント (クリックすると詳細に飛びます) | |
|---|---|
| 項目 | 詳細記事 |
| 外装 | キズやへこみ |
| バンパーの修理・交換 | |
| ステッカー | |
| 内装 | シート汚れや破れ・タバコの穴 |
| ペットの毛や臭い | |
| チャイルドシート | |
| 走行距離 | 車査定に響く走行距離の目安 |
| 修復歴 | 車買取で修復歴・事故歴あり |
| 機関系 | バッテリー上がり |
| エアコンの故障 | |
| 装備・書類 | ホイール |
| カーナビ | |
| ETC | |
| 修理前提 | – |
レッドブックの種類と媒体ごとの違い
レッドブックは、対象となる車の用途や市場ごとの違いを整理するため、いくつかのシリーズに分かれています。
どのシリーズも価格の考え方は共通していますが、扱う車種や流通の前提が異なるため、参照すべき媒体を誤ると相場感を見誤ります。
主な種類と特徴は、次の表のとおりです。
| シリーズ名 | 対象となる車両 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国産商用車 | トラック、バスなど | 事業用途が中心で、一般乗用車とは評価軸が異なる |
| 国産乗用車 | 普通車全般 | 流通量が多く、中古車市場の中心となるシリーズ |
| 軽自動車、二輪車 | 軽自動車、バイク | 軽自動車特有の需要や価格推移が反映される |
| 輸入車 | 輸入車全般 | 国産車と異なる価格変動や流通特性を整理 |
このように、レッドブックは車種ごとに適切なシリーズを用意することで、標準的な価格帯を把握しやすくしています。
自分の車がどの区分に該当するかを正しく理解したうえで参照しないと、実態とかけ離れた価格認識につながるため注意が必要です。
レッドブックの年間費用と契約形態
レッドブックは、書店などで単品購入できる書籍ではなく、年間契約を前提とした業界向け資料として発行されています。
契約形態はシリーズごとに分かれており、必要な分野のみを選んで契約する仕組みです。発行頻度は毎月または隔月で、対象車種によって異なります。
主なシリーズごとの発行形態と年間費用は、次のとおりです。
| シリーズ | 発行月 | 年間費用 |
|---|---|---|
| 商用車(トラック・バス) | 隔月発行(毎奇数月) | 9,240円 |
| 国産乗用車 | 毎月発行 | 12,540円 |
| 軽自動車・二輪車 | 隔月発行(毎奇数月) | 5,940円 |
| 輸入自動車 | 隔月発行(毎偶数月) | 8,580円 |
| 全シリーズ (上記の4冊) | 割引価格 | 31,680円 |
| 国産車シリーズ(上記の3冊) | 割引価格 | 26,840円 |
複数シリーズをまとめて契約する場合は、全体契約や一部セット契約として費用が調整されます。
ただし、いずれの場合も年間契約が前提となるため、短期間だけ参照したい個人ユーザーには向いていません。
レッドブックは、継続的に価格情報を確認する業務用途を想定した資料であり、一般的な車売却のために個人が契約する必要性は低いといえます。
レッドブックの活用方法と使われている場面
レッドブックは、中古車の取引価格を直接決めるための資料ではなく、標準的な価格水準を把握するための参考資料として使われています。
活用される場面の共通点は、特定の一台を評価することよりも、客観的な基準が求められるケースである点にあります。
では、どのような業種で具体的に使われているのかを整理していきます。
自動車販売業以外でレッドブックが使われる業種
レッドブックは中古車の売買に直接使われる資料ではありませんが、自動車販売業以外の分野では、客観的な価格基準として活用されています。
共通しているのは、市場での売買価格ではなく、第三者が見ても説明しやすい基準が必要な場面である点です。
主にレッドブックが使われている業種は、次のとおりです。
- 損害保険会社
- 法律事務所
- 官公庁
これらの分野では、個別の車両状態や交渉結果よりも、誰が見ても一定の根拠として成立する価格資料が求められます。
レッドブックは長年継続して発行されており、算出基準も一定しているため、説明責任を伴う場面で使いやすい資料とされています。
一方で、これらの業種でもレッドブックの数値が絶対視されるわけではありません。
あくまで判断材料の一つとして使われており、実務では状況に応じた補足資料と併せて扱われます。
損害保険会社が車両の補償額を決める際の目安
損害保険会社では、自動車保険の車両保険における補償額を決める際、客観的な基準となる資料が必要になります。
レッドブックは、その判断材料の一つとして使われています。

ここで重視されるのは、実際にいくらで売れるかではなく、事故発生時点での車の時価額をどのように説明できるかという点です。
車両保険の補償額は、新車時の金額を基準にするのではなく、年数の経過に応じて段階的に下がっていきます。
損害保険会社は、この時価額を算出するために、一定の基準で整理された価格資料を参照します。
レッドブックに記載された価格は、流通価格の変動や個別交渉の影響を受けにくく、説明用の根拠として扱いやすい特徴があります。
そのため、補償額の上限を定める場面では、レッドブックの数値が一つの目安として採用されます。
ただし、これはあくまで保険上の評価であり、実際の車買取や売却価格と一致するものではありません。補償額と買取相場は考え方が異なることを理解しておくことが重要です。
法律事務所が車の時価額を算出する際の参考資料
法律事務所では、交通事故や損害賠償をめぐる紛争において、車の時価額を客観的に示す必要があります。
裁判や示談交渉の場では、当事者の主張だけでなく、第三者が見ても合理的と判断できる根拠資料が求められます。その際に参照される資料の一つがレッドブックです。
レッドブックに掲載されている価格は、特定の業者の在庫状況や交渉結果を反映したものではなく、一定の基準に基づいて整理された標準値です。
この性質により、個別事情に左右されにくく、説明資料として使いやすい特徴があります。
法律事務所では、事故発生時点における車の価値を整理するため、他の資料と併せてレッドブックを参照し、時価額算定の裏付けとします。
ただし、ここで算出される時価額は、実際に売却した場合の金額とは一致しません。
あくまで法的判断のための基準値であり、買取相場や再販価格とは目的が異なります。
レッドブックの閲覧方法
レッドブックは、誰でも自由に閲覧できる一般向けの資料ではなく、業務利用を前提とした価格資料です。
書店やオンラインショップで単発購入できる形では流通しておらず、閲覧方法も限られています。
先に述べたとおり、実務では、自動車販売業や損害保険会社、法律事務所など、車の価格を業務上扱う立場にある事業者が利用しています。
これらの利用者は、相場の大枠を把握したり、説明資料として価格の根拠を示したりする目的でレッドブックを参照します。
一方、個人が売却や購入の参考として直接中身を見る機会はほとんどありません。
このように、レッドブックは閲覧できる人が明確に限定された資料です。

次に、なぜ一般の個人では購入や契約ができないのか、その理由を整理します。
レッドブックは一般の個人では購入できない
レッドブックは、業務利用を前提とした価格資料として発行されているため、一般の個人が自由に購入できる仕組みにはなっていません。
申込みは発行元であるオートガイドの公式窓口を通じて行われ、年間契約が前提となります。
その際、申込書には職種や利用目的の記載が求められ、業務との関係性が確認されます。
この契約形態は、継続的に価格情報を確認する必要がある事業者向けに設計されたものです。
車を売却する機会が限られる個人にとって、毎月または隔月で更新される資料を年間契約する実用性は高くありません。
また、レッドブックの価格は個別車両の査定額を示すものではないため、個人が直接利用しても判断材料としては不十分です。
そのため、一般の個人がレッドブックを購入できないのは、情報を制限しているというより、用途と利用者を明確に分けている結果です。

売却時の判断には、別の方法で現在の相場を確認する方が現実的です。
イエローブックはJAAI発行の中古車卸売価格情報

イエローブックは、一般財団法人日本自動車査定協会が発行している中古車の卸売価格資料です。
ここで扱われるのは、主に業者間取引を前提とした価格水準で、オートオークションなどの流通を意識した整理が行われています。
記載されている数値は、販売価格ではなく仕入れ側の目安となる卸売価格である点が特徴です。
イエローブックは毎月発行され、価格情報の更新頻度は比較的高めです。
ただし、閲覧できるのは協会に加盟している業者に限られており、一般の個人が自由に入手できる資料ではありません。そのため、個人が売却時の参考として直接利用する機会はほとんどありません。
また、イエローブックに記載されている卸売価格は、実際の査定額よりも低めに設定される傾向があります。
これは、業者が仕入れ後に再販する余地を考慮した価格帯だからです。

この性質から、買取現場では補足資料として扱われることはあっても、査定額を決める基準として使われることはありません。
イエローブックは、あくまで業者間取引の目安を示す資料と位置づけられます。
シルバーブックはJAAI発行の中古車小売価格情報

シルバーブックは、一般財団法人日本自動車査定協会が発行している中古車の小売価格をまとめた資料です。
イエローブックが業者間取引を前提とした卸売価格を扱うのに対し、シルバーブックは一般ユーザーが中古車を購入する際の参考価格を示す点が特徴です。
掲載されているのは、特定の一台の販売価格ではなく、車種や年式ごとに整理された販売相場の目安になります。
この資料は業界向けに限らず、一般向けにも位置づけられており、紙媒体だけでなくデジタル版も用意されています。
そのため、中古車の購入予算を検討する場面では、価格帯を把握するための参考資料として使われることがあります。ただし、実際の販売価格は、車両状態や装備、地域差、在庫状況によって大きく変わります。

シルバーブックに掲載された小売価格は、あくまで平均的な水準を示すものです。
値引きや付加価値を含めた最終的な販売価格を示すものではないため、実際の取引では個別条件を踏まえた判断が欠かせません。
購入時の目安として活用するのが適切な使い方です。
車の状態に左右されず高く売るなら車一括査定
中古車の買取額は、年式や走行距離、外装や内装の状態だけで決まるものではありません。
実際の買取現場では、業者ごとの販売ルートや在庫状況、得意とする車種によって評価が大きく変わります。この差を引き出しやすい方法が車一括査定です。
車一括査定は、一度の入力で複数の買取業者にまとめて査定を依頼できる仕組みです。各業者は自社の基準で査定額を算出するため、同じ車でも提示額に差が出ます。
レッドブックやイエローブックのような標準値を基準に一律評価されることはなく、実際に再販できる価格を前提に競争が起こる点が特徴です。
特定の業者では評価が伸びにくい車でも、別の業者では需要が高く、積極的な金額が出ることは珍しくありません。
車の状態だけで判断されにくい環境を作れることが、車一括査定の大きな強みです。

相場資料の数値に縛られず、現在の市場評価を引き出したい場合に有効な方法といえます。
まとめ|レッドブックの役割を正しく理解して車の売却判断につなげる
レッドブックは、中古車の評価額を車種や年式ごとに整理した業界向けの価格資料です。
ここまで解説してきた内容を振り返ると、レッドブックは一台ごとの査定額を示すものではなく、中古車市場の標準的な価格水準や位置関係を把握するための資料である点が重要になります。
まず押さえておきたいポイントを整理します。
- レッドブックは業界向け資料で、相場感を把握するための基準
- 掲載価格は車両状態や需要を反映しない標準値
- 実際の査定現場では主な判断材料として使われない
- 損害保険会社や法律事務所など、客観性が求められる場面で活用される
- 一般の個人は購入できず、閲覧も限定されている
このように、レッドブックは保険や法的判断では一定の役割を持ちますが、車買取の金額を決める資料ではありません。
実際の買取額は、オートオークションの取引状況や業者ごとの再販ルート、在庫状況によって左右されます。そのため、レッドブックの数値だけを基準に売却判断をすると、現在の市場評価とズレが生じます。
売却を検討する場合は、相場資料を知識として理解したうえで、複数の買取業者の評価を比較することが欠かせません。次の流れを意識すると、判断しやすくなります。
業界向けの価格資料であり、実際の買取額を示すものではありません。
今どのくらいの価格で取引されているかは、実際の査定でしか分かりません。
業者ごとの評価差を比較することで、今の市場に合った金額が見えてきます。
レッドブックは知識として知っておくと役立ちますが、売却額を決める材料は現場にあります。
相場資料に振り回されず、今の評価を正しく引き出す行動が、納得のいく売却につながります。



