中古車販売店で見る『法定整備』とは？点検内容・費用・車検との違い

中古車販売店で車を見ていると情報の中に法定整備付や、法定整備別といった記載が見られるでしょう。この法定整備とは、いったいどのようなものなのでしょうか。なんとなくのイメージがある人はいるかもしれません。

ただ知っておくことで、中古車選びをする時のポイントにもなってくるものです。そこで法定整備とはなにかといった基本的なことから、費用や点検内容なども含めて詳しく解説していきましょう。

中古車販売で見る”法廷整備”とは？自動車点検基準によって定められているもの

では最初に法定整備とはなにかから見ていきます。法定という言葉の通りに、国土交通省が定める自動車点検基準にて定められているルールのことで、根拠法としては道路運送車両法となります。

• 乗用車は12ヶ月と24ヶ月に一度行なう
• 安全基準を満たしているのかの確認がされる

新車であれば初回の車検まで3年ありますが、中古車だと3年落ち以上の車は2年に1度の車検になります。つまり中古車の場合は24ヶ月点検が車検と重なると考えてください。

具体的な内容としてはブレーキの分解整備を伴う作業などを行います。専門的な部分も多いことから、国家資格を所有する整備士しか整備を行なうことができません。また法定整備を行なった履歴は整備記録簿に記入することになります。

法廷整備付と法廷整備別の違いについて

では前段部分でお伝えした、法定整備付や法定整備別とはどういう意味でしょうか。先ずは法定整備付から見ていきますと、これは納車までに法定整備の12ヶ月点検が実施される中古車という意味になります。

この12ヶ月点検にかかる費用も含めた車両価格になっているので、しっかりとしたメンテナンスを受けられる中古車になるのです。

ちなみに法定整備を受けた車は、メーカー保証の適用期間延長の対象となります。他方で法定整備別という記載は、納車時までに12ヶ月点検をしない中古車のことです。

現状渡しとも呼ばれるのですが、見積書に整備代と書かれることがあります。これは中古車販売店が納車前に、再度点検することを意味するので注意してください。

車検と法廷整備の違い

次に車検と法定整備の違いについても見ていきましょう。車検と同じようなものではと考える人もいますが、実は目的が違っているのです。最初に法定整備から確認していきましょう。

• 安全に走行できるかをチェックするための検査
• 車のメンテナンスのために行われる

というのが法定整備になります。前述したように国家資格を所有する整備士から行なうことができません。ですので車の所有者が自分でできる整備ではないのです。他方で車検についても見ておきます。

• 車が公道を走る基準を満たすかを検査する
• 通常は法定整備とセットで行なう
• 車検のみだとドライバーが自分でチェックすることができる

車検の特徴は以上になります。

法定整備によって点検される内容

では法定整備によって点検されるのは、具体的にどのような内容になるのでしょうか。ここでは12ヶ月点検と、24ヶ月点検のそれぞれについて内容を確認していきます。

いずれもプロに任せるものなので、どのような内容か知っておくだけで十分でしょう。

1年点検の内容

中古車の12ヶ月点検で行なう検査の内容も、道路運送車両法によって決まっています。

①	エンジン回り
②	電気関連装置
③	ブレーキ回り
④	ハンドル回り
⑤	クラッチなどの動力伝達装置
⑥	タイヤなどの足回り
⑦	排気ガス浄化装置

7つの項目で検査が行われる形です。この7つの項目はカテゴリになっていて、それぞれにさらに細かく検査が行われていきます。全部で26の検査項目があるのです。

各カテゴリでゆるみや漏れなどがないのかを確認し、問題があれば修理・調整・交換といった処置が取られます。その結果はすべて整備記録簿に記載されるようになっているのです。

しっかりと整備をしてもらうことで、安心して公道を走れるでしょう。

2年点検の内容

次に24ヶ月点検についても見ていきます。こちらは道路運送車両法ではなく、自動車点検基準という法律で定義されている点検です。

①	ハンドル回り
②	ブレーキ回り
③	タイヤなどの足回り
④	アブソーバーなどの緩衝装置
⑤	クラッチなどの動力伝達装置
⑥	電気関連装置
⑦	エンジン回り
⑧	煤煙などの飛散防止装置
⑨	マフラーなどの排煙装置
⑩	車体

10のカテゴリでチェックされます。さらに細かく項目がわけられていて、全部で56箇所の確認を行なう形です。12ヶ月点検と比較すると、1年の間があくことから、より詳しい点検内容となっています。

1年点検で大まかな検査を行い、2年点検でより詳しい点検をする流れです。2段階で検査が行われることによって、安全に走行できる車両であると担保してくれる制度になっています。

法廷整備にかかる費用

法定整備にかかる費用についても見ていきましょう。

• 12ヶ月点検で1万円～1万5000円程度が相場
• 24ヶ月点検だと2万円前後が相場

点検内容は法律によって決められているのですが、費用については決まっていません。そのため書く自動車工場や販売店などによって、法定整備の料金が違ってくるのです。

中古車では法定整備付と法定整備別があると紹介しました。

法定整備付の場合は、車両価格に1万円～2万円程度の上乗せがあると考えてください。ただし悪質な業者だと、整備費用に上乗せしていることもあるので注意しておきましょう。

ちなみに法定整備別の中古車を購入する場合、工場へ持ち込みする方法があります。先述したように法定整備ができるのは、国家資格を所有した整備士のみとなります。ですので資格保有者が在籍する自動車工場に依頼するといいでしょう。

法廷整備が受けられる場所

法定整備が受けられる場所についても詳しく確認しておきます。前段で法定整備は国家資格を所有する整備士のみが実施できるとしました。ただ一般的な工場では法定整備ができないのです。

• 認証整備工場
• 指定整備工場

このいずれかの工場でないといけません。国土交通省が定めている基準1つで、自動車の分解整備を行なえる工場のことです。その認証を受けたのが認証整備工場になります。

この認証整備工場の中でも、特に技術や設備など一定の基準を満たすことで、指定整備工場の承認が受けられるのです。つまり同じ法定整備を受けるとしても、指定整備工場の方がクラスは上だと言えるでしょう。

法廷整備をしないときの罰則はない

法定整備は法律で定められたルールです。そのため受けなければ、何かしらの罰則があると考える人もいるかもしれません。ですが実際には法定整備を受けなくても、何かしらの罰則があるわけではないのです。

先述したように中古車の場合は24ヶ月点検が、車検の時期とかぶってきます。そのため24ヶ月点検は、車検と同時に受けていることがほとんどなのです。結果として受けないのは12ヶ月点検の方になります。

• 故障につながるリスクがある
• 法定整備を受けないとメーカー保証が受けられない

法的な罰則はありませんが、上記のようなデメリットになる部分があるでしょう。特にメーカー保証の適用期間が延長されなくなるのは、大きなデメリットだと言えます。

法廷整備を受けておくことのメリット

最後に法定整備を受けておくことのメリットについても見ておきましょう。

• メーカー保証の適用期間が延長される
• 事故を起こした時の責任が軽減する可能性がある
• リセールバリューがアップする

軽く触れましたが、法定整備を受けないとメーカー保証の適用期間延長を受けることができません。逆に言えば法定整備を受けるだけで、保証が延長されるのです。

エンジン回りなど、故障した場合は下手をすると100万円を超える修理費用になることがあります。そのため保証が延長されるのは大きなメリットです。

また整備不良が原因になる事故の場合、法定整備を受けていると責任が軽減される可能性があります。責任がまったくなくなるわけではありません。

中古車として買い替えをする場合、法定整備を受けているとメンテンスをしっかりしている証拠になるのです。そのため買取額がアップします。

[gentei]

まとめ

中古車販売店で記載される法定整備について情報をまとめてみました。法定整備というのは法律で決まっている整備のことで、12ヶ月に行なうものと24ヶ月で行なうものの2つがあります。

中古車販売店では法定整備付と法定整備別の2つの表記があり、前者の場合は法定整備がついてきます。

後者だと法定整備はついてきませんので販売店と交渉をするか、自分で整備工場に持ち込むかした方がいいでしょう。