- 車のエアコンが故障した場合の買取事情
夏場に欠かせないエアコンが壊れていることは、車査定の際に減額対象となります。エアコンが効かない車は中古車としてほとんど売れないからです。ただ長年乗っていた車はエアコンの効きが悪いことがあります。
車買取の際、修理をしてから査定に出した方がいいのでしょうか。それとも修理をする必要はないのか悩みます。エアコンの故障はどれくらい車査定に響くのか気になります。
この記事では車のエアコンが故障した場合の買取事情について解説します。エアコン故障車の査定時の注意点についても説明しますので、ぜひ参考にご覧ください。
車のエアコンが故障中!査定額は最大『4万円前後』減額される
車のエアコンが故障していると、査定額は最大で4万円前後減額されてしまいます。しかし、覚えておきたいのはエアコンの故障の程度によって減額の金額は変わるということです。
温度の上昇や下降が遅いといった程度の故障もあります。エアコンを付けたときに臭いがきついとかタバコの香りがするといった症状だけのこともあるでしょう。全く動かない故障に比べると、これらの問題の減額は大きくありません。
しかし、大がかりな修理が必要な故障の時はどうでしょうか。異音がするとか風だけしか出てこないといった場合には、部品の交換が必要となるので減額の金額が大きくなります。
【根拠】エアコン故障の減点評価はJAAI基準に基づく
エアコンの減点評価は、どんな基準によって行なわれているのでしょうか。一般的な車査定はJAAI(一般財団法人日本自動車査定協会)に基づいて行なわれます。
JAAIは査定の項目が細かく分かれており、各項目ごとにどれくらい減額すべきかの規準が決まっています。
クラス\年もの | 当・1年 | 2・3年 | 4・5年 | 6年〜 |
---|---|---|---|---|
特・Ⅰ・Ⅱ | 320点(32万円) | 280点(28万円) | 230点(23万円) | 180点(18万円) |
Ⅲ・Ⅳ | 200点(20万円) | 170点(17万円) | 140点(14万円) | 100点(10万円) |
Ⅴ・Ⅵ | 150点(15万円) | 130点(13万円) | 100点(10万円) | 70点(7万円) |
表の「特」はセンチュリーやセルシオが代表車種です。「Ⅰ」はクラウン、「Ⅱ」はスカイライン、「Ⅲ」はプリウスなどが代表車種になります。「Ⅳ」はソリオやノートなどが代表車種です。
走行距離や年式に加えて、エアコンの状態などの項目があります。エアコンがどれくらい動作するかによって、どの程度減点するかが明確になっています。
査定評価マイナス10点(1万円程度減額)
JAAIによって、どのようにエアコンの査定が行なわれるの考えてみましょう。減額の程度が小さいケースを最初に取り上げます。査定評価がマイナス10点程度、査定額が1万円ほど低くなる場合です。
具体的にそれぞれの問題をチェックしてみましょう。
【ガスチャージ】エアコンは動くが”温度の上昇(下降)が遅い”
ガスチャージに問題があると、次のような症状が出ます。
- 冷えが悪い
- 冷風が弱い
夏場にエアコンを付けてもなかなか車内の温度が下がってくれません。風量を最大にしても強い冷風が出てきません。生ぬるい風がずっと出てくるだけです。このようなケースはガスチャージに問題があると考えられます。
冷却用のガスがもう無くなっていることがありますし、ガスの量が不足している場合もあります。この場合ガスの補充が必要となるため、マイナス査定となってしまうのです。
【フィルター交換】風が臭い&匂いがする
エアコンを付けたら風が臭い場合や、何かの臭いがするときもマイナス10点となります。
この場合はフィルター交換で対処できます。風が出てくる前のフィルターの部分を交換する修理が必要です。
フィルターは高いパーツではないですし、交換も難しくはありません。あまり大変な修理ではないのでマイナス10点程度で収まるのです。風の臭い程度ならそこまで心配しなくても良いでしょう。
査定評価マイナス40点(4万円程度減額)
マイナス40点の評価というのは限度額が4万円くらいになります。
査定額が4万円も下がってしまうのは結構痛いと感じるでしょう。どんな症状が該当するのか見ていきましょう。
【コンプレッサー交換】エアコン自体が作動しない
エアコン自体が作動しないときにはマイナス40点査定になります。
スイッチを入れても、うんともすんとも言わないときや、ただの風しか出てこないときです。エアコンが作動しない場合には、コンプレッサーを交換しなければなりません。
このコンプレッサーは冷気を循環させるために欠かせないパーツです。コンプレッサーの交換は数万円の工賃がかかりますし、工程も少し複雑です。減額の程度が大きくなってもしょうがないと言えます。
車査定・下取リ前にエアコン故障は修理すべき?そのまま売却?
車査定をしてもらうときに、エアコンの故障を修理しておいた方が良いのでしょうか。
【エアコン箇所別】修理にかかる費用一覧表
ガス漏れ・チャージ | 5,000円~30,000円 |
---|---|
コンプレッサー修理 | 30,000円~50,000円 |
ファン・モーターなどの修理 | 40,000円~60,000円 |
点検費用 | 10,000円~15,000円 |
車査定・下取リ前にエアコン故障は修理する必要ナシ
結論から言うと、車査定の前にエアコン故障を修理する必要はありません。修理をしておいたほうが査定額がアップしそうなので、この結論を不思議に思う方もいるでしょう。
修理が必要ないのは以下のような理由があるからです。
- 修理代が高い
- 確実に査定額がアップすると限らない
エアコンの修理は意外と費用がかかります。ガスをチャージしてもらおうとすると、2万円から3万円くらいの費用がかかることがあります。コンプレッサーを交換してもらおうものなら、5万円前後のコストがかかることがあるのです。
ガスチャージの問題なら査定額は1万円の減額ですので、自分で修理に出すと損をします。コンプレッサーの問題でも最大4万円の減額ですから、5万円かけて修理すると1万円の損です。
しかも、修理しても査定額がアップすることはなく、マイナス査定にならないと言うだけです。
エアコン故障は車査定・下取り時に隠して売るのは絶対にダメ!
エアコンの故障や不具合があっても、査定士に言わなければバレないのではないかと考える人がいます。車査定の時にエアコンの故障を黙っていても問題ないのでしょうか。隠して売っても大丈夫なのかどうか調査してみました。
責任は気づかない査定士、もしくはあなたの瑕疵担保責任
エアコンに不具合があるときに、査定士から何か尋ねられたら正直に答えて下さい。何も尋ねられなければ、こちらから積極的に不具合について話す必要はありません。査定士はプロですから、不具合に気がつかないのは査定士の責任です。
しかし、査定士がエアコンのことについて聞いてきたときは別です。何かエアコンの故障などはありますか、と聞かれたらきちんと説明しましょう。何もありませんと言って、後から故障が分かったときには瑕疵担保責任が問われます。
民法は、売買の目的物(本件では中古車)に隠れた瑕疵(欠陥・通常備えるべき性能等を備えていないこと)があり、買い主がこれを知らず、かつ知らないことに過失がない場合に、買い主が瑕疵の存在を知ったときから1年以内であれば、損害賠償を認め、さらに、瑕疵のために契約をした目的を達することができないときは、契約の解除を認めている(570条)。これが、売り主の瑕疵担保責任である。
つまり嘘をついたので契約違反になるという責任です。この場合は最悪、売買契約の破棄に至ることがあるので気を付けてください。
エアコン故障の減額は低い!気になる方は正直に申告
査定士から何も聞かれなくても、エアコンの故障について話しておきたいと思われるかもしれません。話していなくて、後から何かクレームを付けられたらどうかと心配してしまうのです。その場合には正直に話しておくことをおすすめします。
エアコンの故障の減額は低いため、どうしても心配なら申告しておいた方が良いでしょう。正直に申告しても、症状が軽ければ減額されない可能性もあります。正直さを評価されて、査定士が他の部分でプラス査定にしてくれるかもしれません。
車のエアコンが故障した場合の買取事情まとめ
車のエアコンが故障した場合の買取事情をまとめると、以下の通りです。
- 車のエアコンが故障しているときには査定額は減額
- 減額率は大きくなく、最大でも4万円程度
- 自分で修理すると損をするケースが多いためそのまま査定に出すのがいい