- 中古車の値引き事情
- 中古車の値引き交渉術
- 値引きなしで中古車を安く買える方法
中古車は新車と比べて低価格で販売されていますが、可能であれば値引きをしてなるべく安く買いたいものです。予算によってはあと少し安くなれば欲しい中古車が手に入るのに…という状況もあるでしょう。
ただ、新車価格から値落ちした価格帯で売られているものをさらに値引きするのは難しそうなイメージがあります。先に結論をいっておけば、中古車の値引きの場合、期待通りの値引きになるかはケースバイケースと言えるでしょう。
お求めの中古車・販売店の事情、シーズン、交渉の仕方など様々な要素によって値引きの有無・大きさは違ってきます。
この記事では中古車値引きの知識や実践的な値引き術について解説したいと思います。
「中古車の値引きはない」当たり前?
中古車はそもそも新車価格から値落ちした価格帯で販売されているので値引きは難しいというイメージがあります。
値引きはしないのが当然?そんなことすれば場違いな態度なのか?
確かにご自身の期待通りの値引きができるかどうかは一概にいえませんが、交渉しないよりもチャレンジした方がお得になる可能性は高くなります。
新車の値引きとの違い
新車の購入の場合であれば値引きが当たり前のようになっています。実際に値引き交渉してみたら1円たりとも不可能だったというケースの方が珍しいといえます。
それはなぜかといえば、新車を販売するディーラー店では値引きを想定した価格が提示されているからです。
別の言い方をすれば、店の利益を損ねるほどの大幅な値引きの要求であれば、どんな手を使っても基本的には応じてくれません。
また、ディーラー店の場合、「値引きはこれだけしかできませんが、下取り査定の方で高値をつけておきました」という調整も行います。
つまりトータルで想定内におさまるような形で交渉してきます。下取り額を低くして値引きを高くしましたという帳尻合わせを行うこともあります。
いずれにせよ、新車の場合には想定内の値引き範囲が存在するから値引きができるということです。
中古車も値引きはできる
一方、中古車の場合、新車とは違って文字通り一台ずつで車の価値が違います。
その中古車というのは一般的なドライバーから買い取ったり中古車業者のオークションで落札したりして仕入れたものです。
中古車の価格はそういった費用や諸々の支出を差し引いて利益が出るように設定されています。
この仕組みを考えれば、中古車販売店は新車のディーラー店のように想定内の値引き範囲を設けられないと言えるかもしれません。
また、一台ずつで価格設定の仕方が違うため、例えばある中古車は売れても利益率の低い設定で販売されているといった状況もありえます。そのような車に対していくら値引きをしてくれと交渉しても難しいでしょう。
しかし総じて中古車の場合でも、値引きされてもマイナスにならないような価格設定をされているのは確かです。なので値引き交渉をすることで、少しでも値引きしてもらえることは可能です。
どれくらい値引きができる?「目安は3%~15%」
中古車の値引きの目安は「車両本体価格の3%~15%くらい」だと一般的に言われています。
中古車の価格帯はかなり広いですし、車によっても値引き率が違ってきますが、車両価格の10%前後の値引きができれば、かなりうまくできたといえるかもしれません。
中古車の場合、適正な値引き範囲を見極めるのが難しいので、あまり無理のない範囲で交渉するようにしましょう。
人気のないマイナーな車種を選ぶという方法も
店に長く在庫として残っている車や、一般的に売り出しにくい車なら、積極的に値引きしてくれる可能性もあります。
ただ、不人気な車の場合、すでに少ない利益率の設定で低めの価格をつけていることも多いです。そうなるとこれ以上、値は下げられないというケースもあるかもしれません。
それとは矛盾するような言い方になりますが、あとで解説するように人気の車ほど値引きの幅が大きくなる可能性が高いといえます。こちらの場合、販売価格も高めであることが多く、その分、値引きもしやすい傾向です。
【ボディータイプ】による値引き率は?
ボディータイプごとに値引きの目安を見てみましょう。
あくまでもざっくりとした評価ではありますが、手に入れたい車のボディータイプをチェックして、中古車市場でどういう扱い方をされているかを知っておくことは購入の際に参考になるかと思います。
「セダン」の値引きは?
セダンといえばトヨタのプリウスやスバルのインプレッサ、ホンダのシビックなどがあります。ボディタイプによる中古車人気でいえば、セダンはあまり人気が高くはありません。
ただ、クラウンやフーガなど高級車が多く、新車の価格からの値落ちが進んでもそれなりの値を維持し、中古車としての販売価格も高値であることも多いです。
セダンはよく売れるタイプでなく、なおかつ、それなりの価格設定なので、値引き交渉も行いやすく、うまく交渉ができれば車両本体価格から10%~15%の幅で値引きできる可能性も高めです。
「ミニバン」の値引きは?
ミニバンといえば、トヨタのヴォクシー、ノア、アルファード、日産のセレナ、ホンダのフリードなど誰もがよく知る車種が多いです。
ユーザーにはファミリー層が集中し、新車・中古車ともに最もニーズの高いボディタイプと言えるでしょう。人気が高くて需要が大きいため、中古車販売価格の相場もそれなりの高さを保っています。
これは裏を返せば、高い利益率を含めて高額で販売しても売れる状況ということなので、値引きできる幅も広いということです。ミニバンの場合、車両本体価格から15%前後で値引きを狙える可能性も高めです。
「ワンボックス」の値引きは?
ワンボックスといえば、トヨタのハイエース、日産のキャラバンなどが有名です。商業用だけでなく、アウトドアやスポーツを行うドライバーから愛用されているボディタイプです。
ワンボックスの新車価格は高めで、中古車市場での需要もあるため、中古車販売価格も総じて高めに設定されています。少し古いモデルの車種でも値下がりしにくく、値引きの幅も広めです。
ワンボックスの場合、車両本体価格から10%~15%の値引きを目安するといいでしょう。
「SUV」の値引きは?
SUVといえばトヨタのRAV4やハリアー、ホンダのヴェゼル、スバルのフォレスター、日産のエクストレイルなどがあります。
SUVは近年、ミニバンと並んで人気のボディタイプです。新車・中古車、国産車・輸入車に関わらず、売れ行きが好調です。
中古車の買取相場も高いですが、販売したらすぐに売れるような車種だと十分な利益率を確保したうえで価格を設定できます。そのため、値引きもしやすいです。
SUVの場合、10%~15%くらいの高めの値引き率を狙って交渉してみるといいでしょう。
「コンパクトカー」の場合
コンパクトカーといえば、日産のノート、トヨタのアクアやヴィッツなどがあります。コンパクトカー需要は年々、高まっていますが、新車価格は比較的安めであり、値落ち率が高いため、買取時点から相場が低めです。
販売店が利益を引き出しにくいボディタイプといえるので、値引きも消極的な傾向です。コンパクトカーの場合、車両本体価格から最大5%の値引きなら上出来と捉えておくといいでしょう。
「ステーションワゴン」の場合
ステーションワゴンといえば、スバルのレガシィ、トヨタのカローラフィールダーなどがあります。セダン同様、近頃ではそれほど人気がなくなってきたボディタイプです。
中古車ニーズはそれほど高くはありませんが車種によっては新車価格も高めで、高級車であるものも多いです。そういう車であれば値引きも積極的にされやすいです。
ステーションワゴンの場合、車両本体価格から10%~13%の幅の値引きくらいだと捉えておきましょう。
「軽自動車」の場合
軽自動車といえばスズキのワゴンR、ダイハツのタント、ホンダのN-BOXなどがあります。近年コンパクトカーとともに需要が高まっているボディタイプです。
ただ、軽自動車は新車価格から安価であり、利益の確保がしにくいため、値引きにはかなり消極的だと言えるでしょう。人気車種で、販売価格も比較的高めのものであれば、交渉次第では値引きアップもできるかもしれません。
しかし総じて軽自動車の場合、車両本体価格から1%~3%、よくて4%~5%ほどの幅の値引きだと捉えておきましょう。
中古車の値引き交渉術
ここでは中古車の値引き交渉術について解説していきます。繰り返しになりますが、中古車の値引きというのは中古車売買の仕組み上、一筋縄ではいきません。
店側も好意的に値引きをしてあげたいけれど、そうすると損失が出てしまうのでできないというケースもあります。値引きに失敗したとしても、それが当然だというくらいに捉えておくのがいいでしょう。
中古車情報サイトで販売価格をチェック
先にも触れましたが、中古車というのは1台ずつで価格が異なります。車も状態がどれもばらばらなので、他の車と比較することはできません。
しかし手に入れたい車と同じような車の相場を調べておくのは大事です。ネット検索すると中古車情報が出てくるので、なるべく近似した車の価格帯を把握しておきましょう。
そして交渉の際にその情報を明かしましょう。ただ、これは具体的な価格交渉に利用するのではなく、よく調べている客だと思わせるためです。
いわば、値引き交渉する気でいる客であることをアピールするためです。
中古車の値引きの場合、他の販売店との比較交渉は役立たない?
新車の場合、他のディーラー店と競い合わせることで値引き交渉するという方法を聞いたことがあるかもしれません。中古車の場合にも、他の中古車販売店の名を出し、向こうの方が安いといえばさらに値下げしてもらえるのか?
中古車の場合、車の状態がすべてばらばらです。走行距離や年式、オプションなど異なるので、単純に価格を比較することは不可能といえます。
ただし、他の店で購入する可能性があると示すのは有効だといえます。
大手の販売店でなく中小の販売店もリサーチする
大手の販売店を中心に購入先を決める方が多いですが、地域的な中小の販売店や整備工場で車が売られているようなサブディーラーもチェックするのもいいです。
そもそも低価格で販売されているケースも多いですし、スタッフの対応も距離が近く、値引き交渉も行いやすいです。
値引き結果ももちろん大事ですが、何よりも両者が良い雰囲気で話し合い、納得いくかたちで契約を結べるように心がけましょう。
見積書を作ってもらう
見積書を作成してもらいましょう。見積書の内容には車両価格や登録代行費用など細かく内訳が記載されています。そのため値引き交渉をする際、他の業者の見積書を提示するのも有効です。
ただし、そもそも単純な比較のできないのが中古車なので、「他店の方が安いのでもっと値下げしてほしい」という交渉は効果的ではありません。
他店がその見積書の金額からさらに値引きしてくれるそうですといった風に説明し、店の対応の比較を行いましょう。もちろん、できればこの店で購入したいという気持ちを見せておくことは大切です。
予算の設定を決め、予算の限界を少な目に提示する
前もって予算を具体的に決めておくようにしましょう。店側からも尋ねてくることもありますが、そんな時には決めた予算よりも少し低めに告げるといいです。
例えば本当の予算を100万円だとすると、相手には予算が80万円だといいます。場合によっては店側に80万円は厳しい、この車なら90万円が限界ですなどと交渉してきます。これでも予算よりも安く買えることができます。
もちろん買いたい車に応じた予算設定をする必要はあります。極端な話、それだけ予算が低いなら、その車はあきらめてくださいという話になってしまいますので、交渉が成り立つような金額の提示をしましょう。
「今日この店で買う」というアピールが大事
店側は買ってもらってなんぼの商売ですから、こちらがその店で買うという意思を見せることで、交渉に応じてくれる可能性は高まります。
別な言い方をすれば、買う気があるかどうかも分からない態度の客には無理してまで値引きしようとはしないということです。
できれば、「今日この店で購入するつもりだ」と強くアピールするように努めましょう。むしろその気持ちが伝わることで、値引き交渉が本格的にスタートするといえます。
交渉が始まると、いきなりこちらが主導権を握るように「〇〇円になりませんか?」などというようなアプローチは控えましょう。相手の出方を見て、それに合わせるように話を進めるのがポイントです。
本体価格の値引きではなくオプション等の値引き交渉
値引きというのはそもそも車両本体価格からの値下げ交渉ですが、そのほかカーナビやホイールなどオプションを安くできないかという交渉を持ちかけるのもいいでしょう。
車両保険を安くするのは難しくても、オプション等であれば値引きしやすく、それを落としどころにしてくれる店も多いです。
中古車ディーラー店の場合の注意点
中古車の買い方については、例えばガリバーやラビットなど一般的な中古車専門の販売店のほか、正規ディーラー店での中古車販売、「〇〇モータース」などの複数メーカーの中古車を取り扱うサブディーラーと様々にあります。
このなかでもし正規ディーラーの中古車を買おうとしている方はあまり値引きに期待できないと思っておいた方がいいでしょう。
先にも少し触れましたが、ディーラーでは下取りと購入価格のトータルで決められた範囲でうまくおさまるように交渉してきます。
好意的な値引きも考えにくいですし、「値引きできない分、下取りを高く査定しておきました」といったことを言ってきます。
例えば「15万円の下取り額を20万円にしました。販売価格80万円のままですが、差し引きして購入額は60万円です」というような具合です。
しかし中古車買取専門店で査定をすれば買取額が30万円~40万円になることもざらにあります。
下取りは損をするのでお持ちの車の売り方にもこだわるようにしましょう。そしてできればディーラー店での購入よりも、中古車販売店にすることをおすすめします。
中古車の値引きの時期・シーズンは?
新車の場合、ディーラーの決算時期である2月~3月にかけてが値引きの期待できるシーズンですが、中古車の場合、基本的にそのような時期というものはありません。
これは値引きしてもらいやすいという意味だけでなく、安くなるという意味でも、この時期と断定することは難しいです。
ただ、新車の購入が活発である2月~3月に連動して中古車への買取も活発となり、中古車市場への供給が増えるため、中古車販売価格も低くなりやすい傾向にはなります。
在庫をどんどん回転させていきたいこのタイミングであれば値引き交渉もしやすくなる可能性が高いです。
また、新車や中古車の売買が活発な3月を過ぎたあたりで車の需要がいったん減るので、買い手を求めて価格を下げやすいといえます。この時期も値引き交渉がやりやすいシーズンといえるでしょう。
月末も狙い目?
中古車販売店では、月単位の売上実績も重要視されているので、月末になると「できる限り売りたい」という姿勢が強まります。
とくになかなか売れないような車種であればどうにか処分したいと思っているため、値引きも積極的にしてもらいやすいです。
車両本体以外の諸費用(車庫証明・納車費用・下取り費用)をコストカットする
中古車の購入の際、車両本体価格だけでなく、
- 検査登録手続代行費用
- 車庫証明手続代行費用
- 希望ナンバー申込手続代行料
- 納車整備費用
- 納車費用
などがかかります。こういう諸費用で購入価格はかなり高くなってしまいます。
このなかで、車庫証明は自分でもできるので代行費用をカットできます。また、納車費用にしても車を自分で店まで取りに行くと費用はかかりません。ちなみにディーラー店で下取りする場合、下取り査定料や下取り手続きの費用がかかります。
数万円単位の費用ですが、もし中古車買取店での査定なら、査定料も手続き費用もすべてタダになります。こういう面からも下取りはなるべく避けた方がいいでしょう。
中古車の値引きなしで安く買える方法
これまでの話を通して、中古車の値引き交渉を積極的にするのは困難であると感じた方も多いはずです。
実際、中古車をより安く買いたいという方は値引きや店探しよりも、第一に購入資金を増やすことに注力しましょう。
お持ちの車の売り方次第で、10万円20万円という大きな単位で買取額が違ってきます。より高く売れることができたら、それだけ買える車の幅も広がりますし、悪戦苦闘する値引き交渉を行う必要もなくなります。
これまでにも何度か触れましたが、まずディーラー店での下取りは避けましょう。
販売を主な業務とするディーラー店では、下取りに力を入れていません。
そのため中古車買取店での売却をおすすめします。中古車専門店は車を仕入れなければ利益を生み出せないので、積極的に買取を行ってくれます。
また、ディーラーよりも買取に精通しているので、査定も精度も高く、好意的に査定をつけてくれるケースも多いです。
ただ、より高く売るためには、お持ちの車を買いたいと思ってくれる買取店を探す必要があります。買取店が欲しがっていればそれだけ意欲的に査定をつけてくれるからです。
では、どうすればそのような買取店を探すことができるか?近所にもたくさん買取店があるかと思いますが、そのなかからベストな店を見つけるのはなかなか骨の折れる仕事になります。
ベストな買取店を探すには「一括査定」がとても便利
たくさんある買取店のなかから最も高く査定をつけてくれる買取店を探すには、探し方を工夫する必要があります。
正直、自分だけで買取店をリサーチし、1店舗ずつ回って査定してもうのはかなり手間ひまがかかってしまいます。
そこでおすすめなのが「車一括査定」というサービスです。一括査定サイトに申し込めば、複数のおすすめ業者を紹介してくれ、選択した業者すべてに同時で査定依頼ができます。
どの業者も、他店が査定に参加していることは知っているため、はじめから他店を意識した査定をつけてくれ、自然と査定額もアップしやすい仕組みになっています。
なるべく車を高く売り、購入できる車の幅を広げたいという方はまず車一括査定で売却することからスタートしましょう。
まとめ
今回は中古車の値引き術について解説しました。中古車の販売店はまず、ドライバーや中古車業者のオークションで車を買い付け、諸々の費用と利益分を上乗せして中古車を販売しています。
車一台ずつでコンディションにも違いがあり、単純な形で販売価格が設定されているわけではありません。そのため中古車販売店では基本的に、値引きをされたら利益がその分だけ減っていくという捉え方をされます。
一方、新車のディーラー店であればあらかじめ値引きも含めた価格設定がされているため、値引きも想定内として対応してくれます。こういう違いもあるので、中古車での値引き交渉は控えめに行うのがいいといえます。
中古車の場合、値引きよりも予算に合った範囲内でのお得な車を探す方に力を入れた方がいいといえますし、それ以前に現在の車を売却をする際に、なるべく高く売って購入資金を増やしておく工夫をしておくことも大事です。
買取で少しでも高く売れば難しい値引き交渉を無理して行うこともありません。ただ、買取の場合にもなるべく高く売るための工夫として複数の業者で査定することが重要です。
車の売却から購入までやり方次第で、結果が大きく変わるので準備段階でからしっかり行うのがポイントになります。